2016年1月19日(火)17:28

トゥスクEU常任議長はシェンゲン体制の終焉を警告

AFP

収束しない難民問題を受けて、ドナルド・トゥスクEU常任議長はシェンゲン体制が崩壊する恐れがあると警鐘を鳴らした。「事態を掌握するための猶予はあと2ヶ月しかない」。3月のEU首脳会議までに事態をコントロールできなければ「シェンゲン体制終焉の恐れがある」。依然毎日約2,000人の難民がEUに流入しているのだ、とポーランド出身のトゥスク常任議長は火曜日、ストラスブールの欧州議会で演説した。

不可欠なのはEU外的国境の効果的な防御である。これには「代案はない」。政治的進展は得られたが、依然実行の面で不備がある。たとえばEUの外的国境沿いに難民登録センター(「ホットスポット」)を設置する計画や特定の移民の送還である、とトゥスク常任議長は続けた。

欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長は加盟28ヶ国に対して、国家的エゴを克服し、EU創設時の「開拓者精神」に立ち返るよう呼び掛けた。今求められているのはシェンゲン圏とEU内の自由移動を守ることだ、と委員長は訴えた。

しかしそのためにはEU加盟国が力を合わせ、決定事項を実行に移さねばならない。たとえば難民の移住措置であり、EU国境沿岸警備組織の創設である。「さもなければシェンゲンは生き残れない」とユンケル委員長は警告した。

保守系の欧州人民党のマンフレート・ヴェーバー議員団長(キリスト教社会同盟CSU)はシリア難民の受け入れを弁護した。シリアでは戦争が続いており、人々は爆弾から避難しているのだ。欧州はキリスト教の大陸であり、彼らを助ける義務がある、と述べた。

だが2015年にドイツに来た約110万人の難民のうち、シリア難民は40パーセントにすぎない。難民認定を求める権利のない者については移送する必要がある。庇護権を悪用する犯罪者も同様だ、とヴェーバー議員団長は続けた。

欧州委員会のディミトリス・アヴラモプーロス難民担当委員は火曜日の南ドイツ新聞Suddeutsche Zeitungに、依然多くの難民が欧州に到着している状況を踏まえ、EUはいわゆるホットスポットの設置を急ぐつもりだ、と述べた。イタリアとギリシャに設置が計画されている難民登録センターは2月に開所の予定という。

原題:EU-Ratspraesident Tusk warnt vor Ende des Schengen-Systems




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