2002年7月10日(水)17:42

欧州委員会はEU農業政策の抜本的改革を主張

ブリュッセル/ベルリン(AP)

過去数年の食品の安全性問題に対する回答として、欧州委員会はEUの農業政策を抜本的に改革する意向である。水曜日に発表されたフランツ・フィシュラーEU農業担当委員の計画によれば、農家に対する補助は今後は農産物自体でなく、その品質と環境保護を重視することになるという。東ドイツの大規模農場は補助金の大幅な削減を覚悟しなくてはならない。ドイツ政府は欧州委員会案をほぼ全面的に支持する意向を表明したが、これによる失業は回避する意向である。

「私たちは農業政策を社会と融和させねばならず」、これを消費者や納税者に理解してもらう必要がある。単なるとりつくろいでは不充分なのだ。しかし「農家を施しに頼る人々におとしめる」のは欧州委員会の本意ではない。農家の所得は改革後も保証されている、とフィシュラー委員は述べた。

フィシュラー委員は直接補助金を生産高から切り離し、厳しい環境保護・動物保護基準ならびに食品安全基準に結びつける意向である。さらに長期的に直接補助金の20%を農村地域の開発に振り向けるとしている。同委員はこの切り換えを年間3パーセントずつ2004年から開始する意向である。

ドイツ政府のレナーテ・キューナスト消費者保護担当相は、「この提案により欧州委員会は必須の抜本的EU農業改革に道筋をつけた」。私が要求したように、環境と動物の保護ならびに消費者保護が組み込まれた。だが直接補償金に上限を設ける計画が東ドイツの失業を生み出すようなことがあってはならない、と語った。

フィシュラー委員はこの改革案により年間2億ユーロが節約されると期待する。またEU農業政策は世界貿易機構(WTO)の規則との調和がはかられる。さらに改革と足並みをそろえて過度の官僚主義も排除されることになる。改革案はとりわけ環境保護団体の支持を得たが、ドイツ農業同盟は批判的な見解を表明している。

この欧州委員会報告は、1999年のベルリン首脳会議で決まった2006年までのEU財政計画の中間報告である。欧州委員会は秋にフィシュラー提案を具体的な法案の形にまとめ、加盟国の表決に委ねる意向である。フィシュラー委員は2003年には決定が下されると予測している。キューナスト消費者保護担当相は、「このプロセスの最終段階では全会一致が必要である。だから最後まで私はフィシュラー委員に要求し譲歩を求めたい」と強調した。

加えてこの中間報告は、2004年に計画されている10ヶ国へのEU拡大の道筋をつけるものである。EU加盟国の間でとりわけ論議を呼んでいるのは、農家に対する直接補助金の将来のありかたである。直接補助金は年間およそ300億ユーロにのぼり、予算全体のほぼ三分の一を占めている。ドイツ政府は10ヶ国が新規加盟すれば爆発的に費用がかさむと危惧しており、あくまでも削減を求めている。そのためキューナスト消費者保護担当相は欧州委員会提案は予算面ではいまだ不充分であると強調している。しかし最大の受益国であるフランスは現行システムに固執する意向である。

原題:Bruessel dringt auf radikale Reform der EU-Agrarpolitik Dritte Zusammenfassung




トップへ戻る