2004年7月15日(木)19:27
ダンツィヒ(AFP)
ドイツのホルスト・ケーラー大統領は、就任後初の訪問地ポーランドで未来志向の政治を主張した。プロイセン信託公社の求める、過去のドイツ人の財産に対する要求に対し、大統領はワルシャワで拒絶を表明した。ポーランドのアレクサンデル・クファシニェフスキ大統領との会食の席で、ケーラー大統領は第二次大戦の非道に対するドイツの歴史的責任を認め、ドイツ・ポーランドの友好関係の重要性を主張した。
ケーラー大統領は続いて訪れたダンツィヒ(グダニスク)で、過去について語ることは必要である。しかし「前を見る眼差し」もきわめて重要である、と発言した。大統領はまた、ポーランドのレフ・ワレサ前大統領とも会見し、「偉大な人物」と称賛した。ベルリンの壁の崩壊も、自由を求めるポーランドの意思の結果である、と大統領は語った。
ケーラー大統領は、ポーランドにはドイツの故郷放逐者の財産返還要求に対する不安が沸き起こっている。私はこの不安を理解できる。だが個別的な声を大多数の声と混同してはならない、と述べた。大統領はワルシャワでのテーブルスピーチで「ダンツィヒ宣言」に触れた。これは2003年10月、ドイツのヨハネス・ラウ前大統領とクファシニェフスキ大統領が、「苦い過去」に鑑みて両国が共同でより良い未来のために尽力すると同時に、過去の記憶も忘れぬよう努めるという、ドイツ、ポーランド両国の意思を確認した内容である。
だが記憶と追悼は「ヨーロッパを再び分断するために悪用されてはならない」とケーラー大統領は述べた。「それゆえ、もはや補償要求や責任のなすりあいや犯罪や損失の列挙といった行為を認めてはならないのである。」
ドイツの故郷放逐者同盟に関してクファシニェフスキ大統領は、歴史を書き換えるどんな試みも許されない。ポーランドはドイツに対して、補償要求を政治の一部としないという「明確な態度表明」を求めるものである、と述べた。ケーラー大統領は、過去をめぐる議論は「ヨーロッパの文脈」で行われねばならず、相互理解の橋渡しという目標がなくてはならない。ドイツの「真面目な勢力」には、第二次大戦の故郷放逐者の名前を借りてポーランドに財産要求を行うプロイセン信託公社の行動を支持するものはいない、と語った。
原題:Koehler lehnt Entschaedigung fuer Vertriebene ab