2008年7月23日(水)16:15
ブリュッセル(AFP)
欧州委員会は汚職や組織犯罪への対策に著しい怠慢があるとして、ブルガリアに対する5億ユーロ以上の補助金を凍結した。これは欧州委員会による異例の厳しい進展状況報告書から明らかになったもの。支給が凍結された補助金は総額でおよそ8億ユーロにのぼる。ブルガリアの野党は政府に対して不信任案の提出を発表した。もう1つの新規加盟国ルーマニアは汚職に対する取り組みの遅れを厳しく指摘されたものの、当面は制裁措置を免れた。
「組織犯罪と汚職に対する取り組みは充分な成果を示していない」と欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長の広報官は批判した。欧州委員会は2007年1月のブルガリアのEU加盟以来たびたび欠陥を指摘し、今年の初めからはおよそ3億ユーロの補助金を凍結している。今回凍結された約5億ユーロは農業や交通部門の補助金が中心である。しかし補助金はブルガリアが不備を改善し次第支給される、とバローゾ委員長の広報官は強調した。
しかし重要な点で欧州委員会は進展報告書の内容を和らげた。その結果、当初案の数十億ユーロの構造改革基金の停止は見送られた。ブルガリアに対する構造改革基金は2013年まで68億5000ユーロが計上されている。
ブルガリアとルーマニアは欧州委員会の厳しい監督下に置かれている。というのも1年半前のEU加盟以前から両国がEU加盟基準を満たしているか、疑問が出されていたからである。とりわけEU補助金の管理体制や司法制度、食の安全が問題とされている。いわゆる保護条項*は2009年末で切れる。
ブルガリアの保守系野党は中道左派連立政権に対して不信任案を提出した。これは2005年以来6回目となる。野党はこの不信任案で「補償不能な物質的および道義的損害」をもたらしたと政府を非難している。
非政府組織(NGO)のトランスパレンシー・インターナショナル(TI)はブルガリアに対する欧州委員会の制裁措置を歓迎した。しかし放漫な財政はブルガリアとルーマニアだけでなく、多くのEU加盟国の問題でもある、とブルガリアのTIのディアーナ・コヴァチェーヴァ事務長は指摘した。
原題:Bruessel friert wegen Korruption in Bulgarien EU-Hilfen ein
*訳注:「保護条項」とは両国とEUの加盟条約に盛り込まれた付帯規定。両国の改革に進展が見られない場合、両国を特定の政治分野から除外するというもの。たとえば司法協力やEU補助金の停止などが含まれる。発動できる期間は加盟後3年間とされている。