2009年7月8日(水)16:43
AFP
欧州議会のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)の議員グループはEU拡大に新たなハードルを設ける意向である。トルコやクロアチアのような国々との加盟交渉において、新たな分野の交渉を開始する際には、その都度ドイツ連邦議会で審議するようCDUとCSUの代表は要求した。これにより、ドイツ連邦憲法裁判所のリスボン条約をめぐる判断の解釈はあらたな局面を迎えた。
「加盟交渉には連邦議会の審議を含めるべきである」と欧州議会キリスト教民主同盟・社会同盟のマルクス・フェルバー議員代表(CSU)およびヴェルナー・ランゲン議員代表(CDU)はブリュッセルで要求した。これが実現すれば、すでに今の段階で停滞している加盟交渉にさらなるブレーキがかかる。これまでは連邦政府が新たな分野の加盟交渉開始の是非を承認していた。加盟候補国はEUとの間で、商品の自由輸送から税政まで全35分野について交渉を行なわねばならない。
トルコと交渉が開始されたのは35分野中11分野にとどまっている。停滞の理由はドイツやフランスなどの国の抵抗である。キリスト教民主同盟・社会同盟はトルコのEU加盟を拒否している。欧州議会の同同盟議員グループはこの提案により1週間前のドイツ連邦憲法裁判所によるリスボン条約に関する憲法判断に応えた形となる。連邦憲法裁判所は判決の中でドイツ議会のEU政策に対する共同決定権の強化を求めている。
しかし一方でランゲン議員代表、フェルバー議員代表ならびにCDUのエルマー・ブローク欧州議員は、今後すべてのEUの重要な決定について連邦議会の承認が必要としたCSUの有力議員の要求を退けた。
欧州議会社会民主党系議員団のマルティーン・シュルツ代表(ドイツ社会民主党SPD)は、CSUの提案を「大衆迎合的な反EU戦略」と批判した。私はアンゲラ・メルケル首相(CDU)がしかるべき時にCSUのアレクサンダー・ドブリント幹事長の「口にテープを貼る」ものと信じているとシュルツ代表はAFP通信に語った。
ヨシュカ・フィッシャー前外相(緑の党)は連邦憲法裁判所のリスボン条約に対する判断を厳しく批判した。カールスルーエの裁判官はEUに「加盟国のかんぬき」を掛けようとしたのだ、とフィッシャー前外相は週刊新聞ツァイトDie Zeitへの寄稿で述べた。
リスボン条約の今年末までの発効には、すべてのEU加盟国が批准を済ませるねばならない。ドイツは憲法裁判所の判断を受けて、連邦議会の共同決定権を定めた付帯法案を新たに作成する必要がある。予定では法案は9月8日に連邦議会、9月18日に連邦参議院で可決の運びとなる。
原題:Union im Europaparlament will neue Huerde bei EU-Erweiterung