2011年7月6日(水)
AFP(Frederick Florin)
EU議長国を務めるポーランドのドナルド・トゥスク首相はヨーロッパにおけるナショナリズムの傾向に懸念を表明した。トゥスク首相は6ケ月のEU議長国任期のプログラムをストラスブールの欧州議会で発表し、ヨーロッパはこれまで危機に対してナショナリズムや一層の自国中心主義や鎖国主義で応えた場合、常に「破局」に至っている、と警鐘を鳴らした。あわせて首相はデンマークによる国境検査の復活を批判した。演説は欧州議会において熱狂的な拍手で受け入れられた。
国境検査の復活というデンマーク政府の決定は「懸念される」とトゥスク首相は述べた。ポーランドは7月1日から初のEU議長国に就任した。トゥスク首相は、EUの旅行の自由は不法移民対策を口実に制限されてはならない。ポーランドは欧州委員会と協力して、旅行の自由を保障しつつ、移民の波による「甚大な影響」からEUを守る方法を模索するつもりだ、と語った。デンマークは火曜日、ドイツなどの批判をよそに恒久的な税関検査を復活させた。
あわせてトゥスク首相は高まるEU不満にも警鐘を鳴らした。「ヨーロッパの内部でEUに対する疑念が高まることがあってはならない」。EUは言論や信仰の自由といった共通の基本的価値に基づいており、こうした価値はほかのどの地域よりも守られているのだ。ヨーロッパは「世界で最高の場所」であり、「これ以上のものを考えた」ものはほかにいない、と語った。
数多くの議員はトゥスク首相の親EU的な演説を歓迎した。これでようやくまた「親EU的な協力が視界に入った」と社会民主党(SPD)のベルンハルト・ラプカイ議員は語った。欧州議会社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長は、EUは「グローバルな村」において国家単位で問題を解決できると考える国々の政府のもとで苦しんでいる。しかしポーランド政府はパートナーシップの力を信じている、と述べた。
欧州議会自由党のギー・フェルホフスタット議員団長も同様にナショナリズムとポピュリズムの高まりを批判し、この潮流は数年前までは考えられなかったような国にも広がっていると述べた。トゥスク首相は「この方向には進まない数少ない政治家のひとりであり」、彼は後退ではなく一層の欧州統合を求めている、と評価した。
原題:Tusk warnt vor Nationalismus und Abschottung
Rede vor EU-Parlament zu Beginn von Ratspraesidentschaft