2014年7月15日(火)

欧州議会はユンケル次期欧州委員長を承認

EU主要人事をめぐる議論はEU首脳会議へ

AFP

険しい道のりであったが、とうとうゴールに辿り着いた。キリスト教民主系会派所属のジャン・クロード・ユンケルは今後5年間、欧州委員会委員長という最も権限のあるポストに就く。ストラスブールの欧州議会は、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員長の後任として、ルクセンブルク出身のユンケルを選んだ。他のEU主要人事に関しては水曜日のブリュッセルEU首脳会議で議論される。

ユンケル前ルクセンブルク首相は、イギリスのデイヴィッド・キャメロン首相の強い抵抗に遭いながらも、EU首脳会議でバローゾ委員長の後任に指名され、今回、欧州議会において必要な過半数の承認を得た。ユンケル氏に賛成したのは422名の議員、反対は250名、棄権は47名であった。承認には過半数、すなわち376名の賛成が必要とされた。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は「きわめて説得力のある」投票結果であるとしてユンケル氏に祝意を述べた。ロシアのウラディミール・プーチン大統領もユンケル氏に祝辞を送り、あわせてウクライナ紛争で緊迫したEUとロシアの関係の改善に期待を表明した。

ユンケル氏自身も議会の「広範な支持」を嬉しく思うと述べた。賛成の422票は、欧州人民党(EPP)と社会民主党系会派だけでなく、リベラル系ならびに緑の党も含むと見られる。EPPのマンフレート・ヴェーバー議員団長(キリスト教社会同盟CSU)は「歴史的な一日」と述べ、この選出はEUの民主性を高めたと評価した。

ドイツ緑の党もユンケル新欧州委員長が「納得できる手続き」で選ばれたと評価したが、一方で「メルケル氏の不透明な密室政治」に対する拒絶であるとも述べた。同様に自由民主党(FDP)所属のアレクサンダー・グラーフ・ラムズドルフ欧州議員も「EUの民主主義にとって良い一日」となったと評価した。

EUの歴史上初めて、欧州委員長の選出にあたり欧州議会の選挙結果が考慮された。欧州議会選ではユンケル氏が欧州人民党(EPP)の筆頭候補となって最多の得票を獲得した。EU加盟国首脳の間では筆頭候補という議論のある手続きに抵抗もあったが、欧州議会の諸会派はこの手続きに固執した。

ユンケル候補は採決の前、欧州議会で演説を行い、EUの「新たなスタート」を約束し、一層の経済成長と雇用創出に向けた投資プログラムを柱とする10項目プランを欧州議員に提起した。このために官民合わせて3000億ユーロの投資を進める意向である。

59歳のユンケル氏は今後数週間のうちに次期欧州委員会を編成し、委員の所轄について交渉を行う意向である。「これは簡単な仕事ではない」とユンケル氏は述べ、EU加盟国に対してもっと女性の欧州委員候補を提案するよう求めた。加盟28ヶ国はそれぞれ1名の委員候補を提案する形となる。欧州委員会は11月1日の発足までに、委員全員について欧州議会の承認を得る必要がある。

EU加盟国首脳は明日水曜日にブリュッセルで首脳会議を開き、他のEU主要ポストの人事について議論する予定である。決定が見込まれるのは、キャサリン・アシュトンEU外交上級代表の後任人事である。しかし、あわせてヘルマン・ファンロンパイEU常任議長(EU大統領)の後任も決まるかは不明である。

EU外交上級代表のポストは威信があり、影響力も強い。次期候補としては41歳のイタリアのフェデリカ・モゲリーニ外相の名前が挙がっている。しかしまだ外相就任から数ヶ月しか経っていないことから、反対意見もある。ユンケル次期欧州委員長は10項目プログラムの中で、このポストは「強力で経験のある」人物を据えねばならないとしている。そうなれば国際援助担当のクリスタリーナ・ゲオルギエファ欧州委員が候補に上がる可能性もある。

原題:Juncker zum EU-Kommissions-Praesidenten gekroent
Debatte um Spitzenaemter geht nun auf EU-Gipfel weiter




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