2016年7月1日(金)
AFP
欧州連合内の労働者の移動の自由を制限しようとするなら、EU離脱後の英国には共通の域内市場への参入は認められなくなる。欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長は、域内市場の利点から恩恵を受けたいのであれば、英国は四つのEUの基本的自由をすべて認めねばならないと金曜日ブラティスラヴァで語った。「これに関して変更はない。」
EUではこの自由がサービス、モノ、資本、人間に対して適用されている。EU加盟国からの移民を制限しようとする試みは、EU離脱を訴えるブレグジット支持者の一番の原動力となった。EU離脱決定を受けて、英国のデイヴィッド・キャメロン首相は火曜日(28日)のEU首脳会議で、移動の自由の規則の改正が今後のEUとの関係に関する交渉の「鍵」となると述べた。
ユンケル委員長は、離脱申請をできるだけ早く行い離婚協議に入るようあらためて英国に求めた。「無駄にする時間はない」。不透明な局面を長く続けるわけにはいかない、と委員長は述べた。キャメロン首相は9月に選出される後任の首相に離脱申請を委ねる意向である。それからようやく2年の期限が定められた離脱交渉が開始されることになる。
ユンケル委員長はブラティスラヴァで、金曜日から半年交替のEU議長国に就任するスロヴァキア政府との協議を行った。スロヴァキアのロベルト・フィツォ首相は、私は英国問題でユンケル委員長と完全に一致したと述べ、EUへの正式な離脱通告が行われなければ、英国政府との間でいかなる交渉も行わないと釘を刺した。
ブラティスラヴァでは9月16日に臨時首脳会議が開かれ、英国を除く27のEU加盟国がEUの将来について協議を行う意向である。フィツォ首相は過大な期待を戒め、EU条約の改正を必要とするような改革には反対の姿勢を示した。
「私は何も変える必要がないとは言っていない」。「だが正しい方向に進んでいることは変更しない」とユンケル委員長は述べた。フィツォ首相は欧州統合の利点を加盟国国民に分かり易く説明することを重要な観点として挙げた。たとえばシェンゲン圏内の旅行の自由といった利点である。
ユンケル委員長とフィツォ首相は難民問題で意見の相違があることを認めた。というのはスロヴァキアはハンガリーとならんで、EUでの難民の受け入れ分担を極めて厳しく批判した国であるからだ。スロヴァキア政府はこのEUの計画に反対して欧州司法裁判所に訴訟を起こしている。
しかしフィツォ首相は移民難民分野で異論のない事柄があることも指摘した。たとえば共通のEU国境沿岸警備制度の構築である。フィツォ首相は、私は難民問題で「誠実な仲介者」になるつもりだ。しかし加盟国に対しては計画に関する議論の余地が認められねばならない。私は「肯定的なアジェンダ」に期待をかける、と語った。
原題:Juncker: Zugang zum Binnenmarkt fuer London nur bei Erhalt der Freizuegigkeit