2016年7月8日(金)14:18
AFP
ポーランド憲法裁判所の改革を定めた新たな法案は欧州評議会から厳しい批判を受けた。この法案は「法治国家に対する深刻な脅威である」と欧州評議会のニルス・ムイズニェクス人権担当委員は金曜日、ストラスブールで語った。
ムイズニェクス委員は、60ヶ国の著名な憲法学者から構成される欧州評議会のベネチア委員会が、この問題含みの法案を批判し、ポーランドに対して憲法裁判所の決定を尊重するよう求めたことをあらためて指摘した。しかし木曜日に可決された法案は「まさにこれに逆行するもの」であると委員は述べた。
ムイズニェクス人権担当委員はポーランドの上院に対して、この「ひどい法案」の発効を阻止するよう呼び掛けた。議会上院はポーランドの法治国家性が守られるよう手を打つ必要がある、と委員は求めた。右翼保守派の与党「法と正義」PiSの提出した法案は同党の議員による賛成多数で可決され、今後上院と大統領の承認を残すのみとなった。
新たな法案は、現在憲法裁判所で係属中の案件をすべて新たに審理し直すことなどを定めている。また案件は提訴順に審理するよう定められている。
PiSが多数を占める議会は昨年12月、憲法裁判所の機能を著しく低下させる司法改革案を可決した。この司法改革とメディア法改革を理由に、EUは今年1月、ポーランドの法治国家性を審査する手続きを開始した。アメリカ合衆国も懸念を表明している。PiSは新たな法案をめぐる論争は決着したと考えている。しかし野党は新たな規則を裁判所のさらなる弱体化をはかるものとみなしている。
原題:Europarat uebt deutliche Kritik an Gesetz zu polnischem Verfassungsgericht