2002年6月16日(日)10:38
フランクフルト・アム・マイン(AP)
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相はEU東方拡大における見当のつかない財政負担に対して警鐘を鳴らした。社会民主党(SPD)党首を務めるシュレーダー首相は、これまでにない厳しい調子で欧州委員会を批判し、『フランクフルター・アルゲマイネ・ゾンタークスツァイトゥング』紙への寄稿で、ドイツは拡大後の欧州で従来の農業政策の財政を負担する意思はないと主張した。ヨハネス・ラウ大統領は東方拡大が最後の瞬間に挫折する危険性を認めた。
セヴィリアでのEU首脳会議を数日後に控え、シュレーダー首相はEU農業補助金のこれまでの受益国、すなわち西および南ヨーロッパの国々に対して、新規加盟国のために一層の財政負担を引き受けるよう求めた。首相は、目下のところ新規加盟国に対して直接補助金の財政資金が計画されていないことを認めた。首相によれば、欧州委員会は2006年までは予算配分の「積み替え」によってやりくりし、その後は「現行システムを段階的にすべての加盟候補国に対して広げて行き、現行方式でシステムの財源をまかなう」との意向であるという。首相は、この計画には「たとえ私たちがこれを望むにせよ、承諾はできない」と欧州委員会に向けて表明した。
シュレーダー首相の発言によれば、従来の農業政策を加盟25ヶ国に拡大することは最終段階で年間80億ユーロの超過出費をもたらす。そうなればその四分の一の20億ユーロをドイツ一国が負担することになるという。
シュレーダー首相は、東方拡大に遅延が生じてはならないが、欧州委員会と加盟国に対し一層の努力を求める。追加的な財政資金でなく、懸案の農業改革によって浮いた資金を新規加盟国のために用いるべきである。そのためならばドイツも妥協の用意がある、と寄稿で主張している。
ラウ大統領は、加盟交渉の最後の数ヶ月にもう一度「きわめて危険な」状況が訪れる可能性がある。「私は、拡大などできっこないなどと主張している政治家を知っている」。しかし私はタイムスケジュールを守るよう要求する、と『パッサウアー・ノイエ・プレッセ』紙に語った。
かつてキリスト教民主同盟(CDU)の党首を務めたヴォルフガング・ショイブレは、欧州統合に対する独仏エンジンの意義を正しく認識していないなどとして連邦政府の欧州政策を批判した。ショイブレは、将来何が欧州の権限となり、何が加盟国の権限となるか、明確な規定を作るよう求めた。加盟国が決定的な権限を手放そうとしない限り欧州統合は成功しない、とショイブレはザールラント放送で語った。
原題:Schroeder warnt vor Finanzbelastungen bei EU-Osterweiterung