2002年6月23日(日)17:04
ライプツィヒ(AP)
キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)のエトムント・シュトイバー首相候補はチェコ共和国とポーランドに対して、戦後のドイツ人の放逐を定めたベネシュ布告とビェルト布告*の撤回を要求した。これは両国が拡大EUに成功裡に統合するための前提条件である、とキリスト教社会同盟党首のシュトイバーは日曜日、ライプツィヒにおける東プロイセンのドイツ大会の席で語った。シュトイバーは、ポーランドには故郷放逐者に対して開放的な空気があり、チェコよりも対話に前向きである、と述べた。
最近のチェコ政府のような口調はワルシャワからは聞こえてこない。「放逐が平和の源であった**というのがチェコ共和国の声であるならば、そのような主張は現在も将来も受け容れられるものではない」、とバイエルンの州首相を務めるシュトイバーはおよそ8,000人の聴衆を前に語った。さらにシュトイバー候補は、放逐の不正は今なお未解決の問題として残っている。連邦議会選挙で勝利したあかつきには、私はヨーロッパにおけるすべてのドイツの友人やパートナーとともに放逐布告の削除に向けて尽力するつもりである、と語った。
「放逐布告を法的に明確な形で放棄することはポーランド自身の利益にも適う」。私はまたドイツの首都に「反放逐センター」を建設するよう求める、とシュトイバー候補は述べた。ブレスラウに移してはどうかとのポーランドの申し出については「評価できる」と述べた。しかし私はドイツの政治と文化の中心であるベルリンが相応しいと考える、と主張した。
シュトイバー候補は、放逐者団体の文化事業費を2300万ユーロから1650万ユーロに削減した上、さらなる削減を計画しているとして、ゲルハルト・シュレーダー首相を批判した。「私が首相になったら社民党と緑の党の連立政権による予算削減に歯止めをかけ、再び段階的に助成金を増額するつもりである」と東プロイセンの人々に対して公約した。
しかしまたシュトイバー候補は大会の参加者を前に、ヒトラー・ドイツがとりわけソ連とポーランドに与えた損害に対する歴史的責任をすべてのドイツ人が負っていることを指摘した。「私たちが自国の犠牲者だけでなく、ドイツが始めた戦争の犠牲となった他国の犠牲者をも追悼することは良いことである」と同候補は述べた。
原題:Stoiber fordert Ruecknahme von Vertreibungsdekreten
訳注:
* チェコのシュピドラ副首相(社会民主党)は5月18日付けの『南ドイツ新聞』Sueddeutsche Zeitung とのインタビューでズデーテンドイツ人の「移送」は「平和の源になった」と発言した。次のURLを参照:http://ecowww.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/nakajima/e-mai%2002/18.05.SZ.html。
**ボレスワフ・ビェルトBoleslaw Bierut (1892-1956)は1947年から52年までポーランドの大統領、1952年から54年まで首相を務めた。