2003年6月19日(木)18:16

チェコはズデーテンドイツ人の放逐を初めて「受け入れられない」と論評

プラハ(ドイツ通信社)

チェコ政府は第二次大戦後のズデーテンドイツ人の放逐を「今日の視点からは受け入れられない」と声明の中で評した。社会民主党とリベラル政党の連立内閣は木曜日、当時の事件と行為はもはや取り返しがつかないが、これが両国民の共存にこれ以上暗い影を落とさぬよう望むと強調した。この声明は、77,3%の票で2004年5月1日のEU加盟を承認した先週末の国民投票に関する論評の一部として発表された。

必ずしも外交儀礼どおりではなかったのは、木曜日のドイツとチェコの外交官の電話会談に混じった安堵の響きであった。一年前にはドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は放逐をめぐる論争を理由にプラハ訪問を取りやめている。「これでさらなる緊張緩和の見込みがついた」とドイツ外務相の職員は述べた。

衆目を驚かせたこの決定は偶然ではなく、周到に時期を選んだものであった。先週末には77%のチェコ国民が同国のEU加盟を国民投票で承認していた。もしこの内閣の論評が早く行われていたならば、「多くのチェコ人はズデーテンドイツ人が帰還するという漠たる不安からEU加盟に反対票を投じていたであろう」。しかしこれで、ヴラディミール・シュピドラ首相とシリル・スヴォボダ外相は「胸を張ってテッサロニキのEU首脳会議に赴く」ことができたのだ、とチェコ政府の顧問の一人は語った。

このような公式見解はすでに昨年に検討が行われていた。しかし当時のミロシュ・ゼマン首相がズデーテンドイツ人を「ヒトラーの第五列(秘密部隊の意味=訳注)」と呼んで論議を巻き起こしたり、バイエルンのエトムント・シュトイバー州首相などがチェコ政府にいわゆるベネシュ布告の撤廃を求めるなどしたため、外交上の余地は狭まっていた。しかしその後、すでに2003年3月の段階でチェコのヴァーツラフ・クラウス大統領は放逐について「今日の視点からは受け入れられない」と述べていた。

「野党に属すクラウス大統領の発言とEU加盟国民投票を受けて、政府はもはや障害がなくなったと判断した」とチェコの上級外交官は述べる。ひょっとしたらこの宣言は「一連の提案の一部」かもしれないが、チェコ政府がチェコのドイツ系少数民族に対し、人道的ジェスチャーの形で第二次大戦後の強制労働に対する補償を行うとの推測については私は論評を控えたい、とこの外交官は語った。

ドイツ側はなんら圧力をかけていないとある外交官は木曜日に述べた。またチェコ政府の顧問もこれを確認する形で、「もしこの論評に対して、チェコ政府に対する要求が持ち出されたり、否定的な批評が行われたりするならば、これ以上の和解のステップは内政上実行困難である」。すでにこの声明の決定に際しても内閣の中には「警戒や拒絶の声」があったのである、と語った。

だがこの論評はドイツのみならず、同様に多くの故郷放逐者が暮らしているオーストリアに対しても向けられたものである。オーストリアの政治家は、ズデーテン人放逐の誤りを明確に認めていないとたびたびチェコを批判している。6月末にはシュピドラ首相がウィーンを訪問する予定である。また9月にはシュレーダー首相が取りやめになっていたプラハ訪問を行うと伝えられている。しかし、この会談でさらなる和解の施策が期待できるかとの問いに対して、チェコ政府は木曜日「そのような考えは時期尚早である」と発表した。

原題:Tschechien nennt Vertreibung erstmals "unannehmbar"




トップへ戻る