2005年6月2日(木)13:53

スペイン:「EUはトルコ加盟を再考すべき」

マドリード(ドイツ通信社)

フランスとオランダの国民投票でのEU憲法否決を受けて、スペインのミゲル・アンヘル・モラティノス外相はトルコとの欧州連合加盟交渉を再考するよう主張した。

オランダの国民投票の結果は内政問題だけに起因するものではない、とモラティノス外相は木曜日国営ラジオ放送RNEに語った。EU拡大のプロセスはこれまであまりにも速く進んだため、人々の間に「さまざまの懸念や不安」を引き起こした。フランスとオランダの国民投票はEUに再考を強いている。これは「疑いもなく」トルコとの加盟交渉にも該当する、と外相は主張した。

しかし一方でスペインは溢れんばかりの欧州統合の情熱を持って突き進もうとしていた。2月20日にはEU最初の国民投票を実施してEU憲法を承認した。ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテーロ首相はこれによりEUに方向性を与えようとした。しかし他の国はこれに素直に従おうとはしなかった。フランスとオランダの国民はスペインの指し示した道を誤った道と考え、反対票を投じた。

サパテーロ首相は幾分面目を失っている。首相は自国の野党の嘲笑を甘受せねばならない。2004年3月の選挙戦の勝利を受けて就任した社会労働党のサパテーロ首相は、外交で大きな路線転換を行った。保守のホセ・マリア・アスナール前首相がアメリカ寄りの外交を行い、イラク戦争でジョージW.ブッシュ大統領を支持したのに対して、サパテーロ首相はドイツとフランスというEU大国に賭けた。

これに対しスペインは大きな代償を払った。サパテーロ首相は、アスナール前首相が一貫して強硬に反対していた閣僚理事会におけるスペインの持ち票減を承認した。この譲歩に対してスペインは何の対価も得られなかったばかりか、他のEUパートナー国によって多額の構造補助金を大幅に削減される恐れがある。

保守の国民党(PP)は独仏枢軸を分断するようサパテーロ首相に要求している。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相とフランスのジャック・シラク大統領は「敗者の枢軸」だと国民党のマリアーノ・ラホイ党首は罵った。同党議員団のエドゥアルド・サプラーナ広報担当はさらに厳しい言葉を用い、サパテーロ首相をシュレーダー首相とシラク大統領の「ペット犬」と呼んだ。またシュレーダー首相とシラク大統領については「自国の国民の不興を買っている退廃的政治家」と評した。

しかしスペインの保守派も自らを勝利者と見なすことはできない。なぜなら彼らも同様にEU憲法への支持を訴えたからである。スペイン国民の中にはブラックユーモアで憂さを晴らすものもいる。ある漫画家はテレビの前に座る夫婦を描いてこう語らせている。「オランダ人は『ネー』と言ったそうよ。これが国民投票の良いところね。だっていろんな国で『反対』のことを何て言うのか、分かるじゃない?」

原題:Spanien: EU soll Tuerkei-Beitritt ueberdenken




ホームへ戻る