2005年6月7日(火)15:37
ストラスブール(AFP)
フランスとオランダのEU憲法否決を受け、欧州議会では将来の拡大戦略に関する議論が再燃した。社会民主党と緑の党の代表は、EU憲法の危機を受けて今後のEU加盟を原則的に見直すことに対して警鐘を鳴らし、バルカン諸国などにEU加盟展望を開いておかねばならないと主張した。
EUは従来の決定を守らねばならない。これは新規加盟を一から見直すようなことが許されないということだ、と欧州議会の社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長(ドイツ社会民主党)は語った。欧州議会緑の党のダーニエル・コーンベンディート議員団長も、バルカン諸国にEUへの扉を原則的に閉ざすことを戒めた。そのような政策は「きわめて危険な結果」を招く恐れがある。バルカン半島で新たな紛争が起これば、ヨーロッパは高い代償を払わねばならない、と警告した。
これに対し、欧州国民党(EVP)*のハンスゲルト・ペッテリング議員団長は、フランスとオランダの国民投票を受けて「拡大問題の状況は変わった」、少なくとも「タイムスケジュールと推進力」に関する限り、と述べた。ドイツのキリスト教民主同盟に所属するペッテリング議員団長は、来週のEU首脳会議はこの状況を考慮しなくてはならない。私は首脳会議が「これに関するシグナル」を発するものと期待している、と語った。
「政治的にも文化的にも地理的にも」EUは「広がりすぎては」ならない。それゆえトルコとの間で合意された加盟協議も「特権的パートナーシップ」を目標にしなくてはならない、欧州委員会はブルガリアとルーマニアの加盟計画に関し、次の拡大進展報告書で「率直に」状況を述べねばならず、「何一つ美化」してはならない、とペッテリング議員団長は主張した。
自由党のグレアム・ワトソン議員団長は、1年前の東方拡大の議論が不十分であったこともEU憲法否決の一因であると主張した。「実質的な議論」はまったく行われなかったのだ、とワトソン議員団長は述べた。
原題:Beitrittsdebatte im EU-Parlament neu angefacht
*)訳注:欧州国民党(EVP)は「欧州人民党」とも訳されているが、この党は保守中道系政党の連合体である。