2005年6月8日(水)15:27
ストラスブール/ブリュッセル/ベルリン(ドイツ通信社)
ブリュッセルのEU首脳会議をおよそ一週間後に控えて、欧州連合の予算計画に合意することでEUの行動能力を示すべきであるという加盟国首脳への圧力が高まっている。
欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長は水曜日欧州議会で、併せてEU憲法の危機を政治的に解決するよう勧告した。フランスとオランダの否決を受け、大会派に所属する欧州議員は批准手続きを残りの13ヶ国で継続するよう呼びかけた。
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、欧州統合と拡大の路線を堅持するとの決心は揺るがないと述べた。今は「欧州の理念が破壊される」か、それとも困難な時期にあっても理念を堅持するかの正念場である、と首相はベルリンで述べた。
欧州議会は2007年から2013年の予算計画を承認した。この計画では支出は9750億ユーロで、EU加盟国の総収入(BNE)の1.18パーセントとなっている。これは議長国ルクセンブルクの提案(1.055パーセント)や実質負担国のドイツの提案(1パーセント)を大幅に上回る。ドイツ政府は最近譲歩の構えを見せていた。欧州委員会の提案はBNEの1.24パーセントであった。6月16日、17日の首脳会議では、イギリスに対する巨額の割引金が合意を阻む障害になると見られている。
シュレーダー首相は、西バルカン諸国のEUおよびNATO接近政策を継続する必要があるとの見解を表明した。この地域の不安定性はEUやドイツにとってEU加盟政策よりも「高くつく」、と首相はドイツ連邦国防軍のバルカン駐留経費に言及しながら説明した。アメリカも、EU憲法国民投票の否決によりバルカン情勢に悪影響が及ぶのではないかとの懸念を表明した。フランスとオランダ両国民の否決により、バルカンに安定をもたらしていたEUの魅力が薄れる恐れがあるとアメリカは懸念している、とドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は火曜日ワシントンで、アメリカのスティーヴン・ハドリー安全保障顧問との協議を終えて語った。
一方、欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員はクロアチアに対して、EU市民の間で高まる反発を考慮しできるだけ早く加盟交渉開始の前提条件を満たすよう勧告した。ハーグ国際戦犯法廷のカルラ・デルポンテ主任検察官は、若干の進展は見られるもののクロアチアの国際戦犯法廷との協力はまだ「無条件」とは言えないという見解を表明した。クロアチアとのEU加盟交渉の開始は3月に延期が決定された。その最大の理由は、同国がアンテ・ゴトヴィナ元将軍の身柄引き渡しに応じていないためである。クロアチアとの加盟交渉は2009年の加盟を目標に行われるという。
一方ヨシュカ・フィッシャー外相は、合意したタイムスケジュールどおりにトルコとの加盟交渉を行うことを主張した。10月3日の交渉開始は決まっているのだ。これからEU内で交渉の枠組みを決めねばならず、これには全会一致が必要となる、とフィッシャー外相はワシントンで語った。正式加盟の代案としてキリスト教民主同盟・社会同盟が主張する「特権的パートナーシップ」については、外相は明確に否定した。
原題:EU-Parlament will Verfassungsvertrag noch nicht begraben