2006年6月16日(金)16:31

EUは市民の声に耳を傾けて拡大を進める意向

ブリュッセル(AP)

欧州連合は今後の拡大ラウンドで欧州市民の懸念に一層配慮する意向である。「今後は結果に配慮せずフルアクセルで進むことは行なわない」ことを示すのが重要だ。とEU議長を務めるオーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は金曜日ブリュッセルで、2日間のEU首脳会議の閉幕に当たり語った。ドイツのアンゲラ・メルケル首相も、EUの将来に関する議論でも市民の声を聞くことが大事だと強調した。

2007年上半期にドイツは議長国としてEU憲法条約に新たな浮力を与える意向であるが、それと並行する形でEUは別のレールで「プロジェクトのEU」を発表する予定である、とメルケル首相は述べた。EUは「人々の目標に役に立っているのか?」と自らに問う必要がある。すなわち雇用創出や経済成長の問題である、とメルケル首相は語った。

イギリスのトニー・ブレア首相は、欧州市民がとりわけ移民流入、テロ、エネルギー確保の問題を懸念しているとの見解を表明した。「私たちはこの緊急の問題で前進すべきである」とブレア首相は述べた。亡命者がカナリア諸島に押し寄せている現状を踏まえ、EU首脳会議は金曜日、海上の国境監視を強化するよう求め、アフリカ諸国との連携の強化を呼びかけた。

EU拡大に関してEU各国首脳は、欧州連合の受け容れ能力に関する報告書を毎年発表するよう欧州委員会に求めた。この報告書では「拡大に対する現在および将来の欧州市民の受けとめ方」が報告されることになるという。

一方でEU首脳会議はEUは自らの約束を守ると強調した。ブルガリアとルーマニアは来年にも加盟する可能性があり、遅くとも2008年の加盟は確実である。トルコとクロアチアとの間ではこの月曜日に正式に加盟交渉が開始された。

フランスのジャック・シラク大統領は、もしトルコ政府が空港や港湾をギリシャ系キプロスの船舶や飛行機に開放しないのならば、加盟交渉は決裂する恐れがあるとトルコに警告を発した。トルコは2005年にEUとの関税同盟をキプロスを含む新規加盟10ヶ国に拡大する協定に調印している。しかし協定はいまだ実行されていない。「彼らは約束を守らねばならない」。さもなければトルコ政府は「EU拡大を前進させるという自らの能力に疑問符をつけることになる」、とシラク大統領は述べた。

シラク大統領の警告は、EUの要求をあらためて拒否したトルコのレチェプ・タイップ・エルドアン首相の発言に対するものであった。トルコ系北キプロスの孤立が解消されない限り、トルコはEUの要求に屈しない。欧州連合加盟のためにこの目標を断念することは、あまりに大きな代償である、とエルドアン首相はイスタンブールで述べた。

EU首脳会議で合意されたEU憲法の再生プランはドイツに重要な役割を負わせている。ドイツ政府は2007年1月のEU議長就任後に、議論を呼んでいる憲法条約の今後について提案を含む報告書を発表する予定である。メルケル首相は2008年末までのプロセス完了に自信を示している。EU加盟国が具体的な期日を設定したことは良いことだ。「私たちは無限に時間を費やすわけにはいかないのだから」、とメルケル首相は語った。

ローマ条約50周年にあたる2007年3月25日に、メルケル首相はベルリンでEU臨時首脳会議を開く意向である。また各国首脳は今後は首脳会議をさらに公開で行なうことで合意した。

原題:EU will Erweiterung buergernaeher gestalten




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