2008年6月1日(日)16:10
ルートヴィヒスブルク/ベルリン(AP)
ドイツのホルスト・ケーラー大統領はEU拡大後の東欧に新たな政治的分断線が生まれぬよう警鐘を鳴らした。演説原稿によれば大統領は日曜日、ルートヴィヒスブルクで開かれたベッサラビアドイツ人連邦集会における挨拶で、欧州連合の東方に向けた「正しくかつ重要な拡大」が新たな境界を作り出さぬよう、ドイツ国民は尽力すべきであると述べた。
「ヨーロッパの終わりはウクライナの国境でもモルドバの国境でもない」と、ベッサラビアを父祖の地とするケーラー大統領は述べ、かつてはソ連の最も豊かな共和国の一つであったモルドバが、今日ではヨーロッパの最貧国と見なされている状況に言及した。
一方ケーラー大統領は同じくルートヴィヒスブルクで開かれたドイツ・フランス青少年協会の創立60周年式典の祝辞で、「明日の世界における私たちの重要性が決して保証されていないことを直視する」ようヨーロッパ人に対して呼びかけた。2020年にはヨーロッパの人口はおそらく世界の20パーセント程度に低下するだろう。「これは死活問題についてヨーロッパが声を一つに合わせることがいかに大事かを示すものだ」。
ベッサラビアとは東欧のモルドバ西部からウクライナの一部に広がる地域を指す。ここに19世紀の前半、ドイツ南西部などからドイツ人が移住した。1940年のヒトラーとスターリンの密約により、ドイツ系移民の子孫は当時ナチスドイツによって占領されていた今日のポーランド領に強制移住させられた。ケーラー大統領は1943年にそこで生まれている。
原題:Koehler warnt vor ≪neuen Trennlinien≫ in Europas Osten