2010年6月17日(木)18:41
AFP
欧州連合の各国首脳はブリュッセルで首脳会議を開き、銀行税の導入で合意した。外交筋によれば、EU首脳会議はこれによりヨーロッパの金融危機でもたらされる負担の公平化を図るという。世界規模の金融市場税の導入に関しては、EUは来週カナダで開かれる20ヶ国・地域首脳会議(G20)の場で道筋をつけたい意向である。財政赤字の問題でもEU首脳会議は財政規律の厳格化で合意した。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)はEU首脳会議の席で、銀行税の導入ならびに金融市場への課税を主張した。ヨーロッパは6月末にカナダで開かれるG8とG20で「EUとしてできるだけ統一的な姿勢で臨む」べきである。これには銀行税と金融市場への課税も含まれる、とメルケル首相は述べた。
外交筋によればイギリスは銀行税の導入に反対したという。イギリス政府は銀行税導入のような決定を加盟国の主権に留めたい意向であった。フランスのニコラ・サルコジ大統領によれば、国際的な金融市場税の導入に対しては依然EU内で反対の声があるという。EU首脳会議ではすべての加盟国がこのような税の導入を求めたドイツとフランスの提案を大歓迎したわけではない、とサルコジ大統領は協議の後で認めた。閉幕宣言の草案は金融市場税についてまったく言及していない。
経済政策の協調をさらに進めることが最優先の緊急の課題である、とブリュッセル首脳会議の閉幕宣言は謳っている。加盟国が財政規律を遵守しているかどうか、監視を強化し、また違反した場合は追加的な制裁を検討することにより、EUの安定成長協定の強化が図られる。これにより2011年以降、加盟国は予算案を毎年春、すなわち加盟国の議会による承認の前に、欧州委員会に提出することが義務付けられる。
安定成長協定に違反した国には新たな制裁が科される一方、基準を守った国に対しては財政的な報償が支給される。ドイツとフランスはこれに加えて、顕著な協定違反国から議決権を剥奪するよう提案していた。しかしそのためには長期にわたる交渉を行ってリスボン条約を改正する必要がある。
EU各国首脳は意外にも銀行の経営状況に関する秘密データの開示にも合意した。ストレステスト(資産査定)を行い、銀行が金融危機にどの程度耐えられるかを調べることになる。アンゲラ・メルケル首相(CDU)によれば、ストレステストの結果は7月中に公表されるという。
EU各国首脳はバルト三国のエストニアのユーロ圏加盟の道も開いた。EU首脳会議は、エストニアを2011年1月1日に17番目の加盟国としてユーロ圏に迎えることで合意した。
原題:EU-Gipfel einigt sich auf Bankenabgabe