2010年6月17日(木)19:34
ブリュッセル(AP)
アイスランドは欧州連合加盟に向けて舵を取ることができる。EU各国首脳は木曜日、島国アイスランドとのEU加盟交渉の開始を承認した。アイスランドは1年前まではEUに対して冷淡な態度を示していたが、自国の金融システムの崩壊によりヨーロッパ大陸への関心が高まり、2009年7月には政府が加盟申請を行っていた。
「私たちの故郷はヨーロッパであり、アイスランドのEU加盟は間違いなく双方の利益につながるだろう」とアイスランドのオッシュル・スカルプヘイジンソン外相は木曜日、EU首脳会議の加盟協議招請を受けて語った。しかし加盟交渉の完了までには、いくつか障害を乗り越えねばならない。オランダとイギリスは、両国の投資家がインターネット銀行アイスセーブの破綻によって被った総額38億ユーロの損害を補償するよう、アイスランド政府に求めている。オランダのヤン・ピーター・バルケネンデ首相はブリュッセルで、「アイスランドは自らの責任に向き合わねばならない。私たちはそのための環境をつくるつもりだ」と警告した。
EUはまた、アイスランドが海域を他のEU加盟国の漁船に開放することも期待している。これまで島国のアイスランドは自国の漁場を外国の競争から保護してきた。漁業はアイスランドにとって大きな意味を持つ。欧州委員会によれば、アイスランドの総人口300,000人のうち、漁業部門の就労者は約4,000人で、年間の生産額はおよそ8億ユーロにのぼる。これは2008年の国内総生産100億ユーロの8パーセントを占める。
それ以外の点ではアイスランドは以前から欧州経済圏とシェンゲン圏に加盟しており、EU加盟のための政治的・経済的基準の大部分を満たしている。しかし1944年にデンマークから完全な独立を果たしたばかりの島国アイスランドでは、EU加盟について賛否が分かれている。
目下EUはクロアチアとトルコとの間で加盟交渉を行っている。長期的にはマケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、セルビア、モンテネグロ、コソボ、アルバニアも加盟候補国と目されている。
原題:EU laedt Island zu Beitrittsgespraechen ein