2011年6月9日(木)

ブルガリアとルーマニアのシェンゲン圏加盟は見送り

EU内相理事会は決定を延期

AFP(John Thys)

ブルガリアとルーマニアの国民は、完全に旅券審査なしでヨーロッパの大部分を旅行するまで、さらに待たねばならない。EU各国内相はルクセンブルクで理事会を開き、両国のシェンゲン圏加盟に向けた手続きに関する決定を秋に延期した、とハンガリーのシャンドル・ピンテル内相は語った。両国の速やかな加盟に反対したのは、ドイツ、フランス、オランダであった。

ブルガリアとルーマニアは2007年からEUに加盟しており、当初は今年中のシェンゲン圏加盟を望んでいた。しかしいくつかの加盟国は両国の司法制度の状況と汚職撲滅が不十分と見ており、シェンゲン圏の外部国境の安全が脅かされると懸念していた。したがってまずは7月に発表される両国の司法制度および汚職撲滅の進展に関する欧州委員会の報告書を待つ意向である。

ドイツのハンスペーター・フリードリヒ内相(キリスト教社会同盟CSU)とフランスのクロード・ゲアン内相はルクセンブルクで二ヶ国協議を行ったのち、この意見を主張した。オランダもこの要求を支持した。ドイツ政府は汚職、法の安全、法治国家に関する両国の状況が改善に向かうことを確認したい、とフリードリヒ内相は述べた。

シェンゲン圏への新規加盟は加盟国の全会一致が必要となる。欧州議会は水曜日にブルガリア、ルーマニア両国のシェンゲン圏の加盟を可決していた。最近ではリヒテンシュタインが26番目の加盟国として加盟を承認されている。

今後ブルガリアとルーマニアに対してシェンゲン圏への道を段階的に開く可能性が検討される。両国からの航空機による旅客に対する旅券審査を2011年に廃止し、続いて翌年には陸と海の国境検査を廃止することを検討する、とハンガリーのピンテル内相は述べた。ハンガリーは現在EU議長国を務めている。

しかし今回の決定によれば、ブルガリアとルーマニアのシェンゲン圏加盟が再度議題にとりあげられるのは9月になる。したがって両国の最終的なシェンゲン圏加盟は早くとも来年となる。フランスのゲアン内相は2012年末の加盟について可能性のある「作業仮説」と評した。

内相理事会ではEUの統一的な難民政策についての欧州委員会の計画に批判の声が寄せられた。EU外交筋によれば、新たな法律をつくることは現段階では完全に誤っており、むしろ現在の規則を利用すべきである、とイギリスのテレーザ・メイ内相は主張したという。EU加盟27ヶ国の難民政策の調和をはかるという欧州委員会のセシリア・マルストレーム内務担当委員の提案については、ドイツも懐疑的である。

原題:Verzoegerter Schengen-Beitritt von Bulgarien und Rumaenien
EU-Innenminister vertagen die Entscheidung




ホームへ戻る