2011年6月24日(金)15:28

EUは国境検査復活への道を開く

ブリュッセル(dapd)

シェンゲン協定の発効から25年、欧州での旅行の自由は非常の事態に限って制限されることになった。EU首脳会議は金曜日、欧州委員会に対して規定の改正を委託した。これを受け、欧州委員会は9月までに保護約款を策定することになる。これはその後「真に危機的な状況において」適用され、シェンゲン協定加盟25ヶ国の内部国境の国境検査再開が可能となる。これが適用されるケースは、たとえばシェンゲン外部国境の国が不法移民に対して充分に外部国境の守りを行っていない場合などである。

EUのこの改革は北アフリカから押し寄せる移民に対応するものである。この問題は5月以降激しい議論を呼んだ。というのも旅行の自由はドイツのアンゲラ・メルケル首相が述べるように、「非常に大きな財産」であるからである。メルケル首相は、この財産が国内の事情により危機に瀕するのを許してはならないと訴えた。

まさにこのことが5月に起きた。イタリアがチュニジアからの経済難民にシェンゲン圏通行許可証を発行し、それに対してフランスが国境を封鎖したときである。それゆえフランスのニコラ・サルコジ大統領は国境検査の新たな可能性を強く要求した。金曜日の決定は「私たちの要求に完全に沿う内容である」とサルコジ大統領は首脳会議の閉幕で述べた。

バローゾEU委員長は「旅行の自由の精神」を強調

しかし欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は、「私たちにとって肝要な原則はすべて守られる」と強調し、私の提案は「旅行の自由の精神に」沿ったものとなるだろうと述べた。それゆえ新たな検査の境界線は厳しく定めることになるという。保護約款の適用には一連の客観的基準が定められ、さらに「共同の評価」によって危機的状況か否かの確認が行われるという。

これにより、現在デンマークが計画しているような、加盟国が充分な根拠もなく独断で国境検査を導入する事態が防がれる。だがサルコジ大統領が明言したように、最終的権限を持つのは加盟国であるという。しかし首脳会談の宣言は、旅行の自由の制限は、地域的、時間的に厳しく限定された上で行われねばならないと述べており、国境検査は「最後の手段」に過ぎないと釘をさしている。

事態の悪化を防ぐため、新たな支援メカニズムも創設される。これはシェンゲン加盟国のひとつが第三国からの難民の大きな圧力にさらされた場合、まず国境の防衛に対する支援を受ける。そのためにEUの国境警備隊フロンテックスFrontexも新たな権限と予算が認められることになる。

「それほど信用は置けない」

シェンゲン協定は1985年に発効した。EU首脳会議は閉幕宣言の中で「自由な人の移動は「最も具体的でもっとも大きな欧州統合の成果のひとつである」と述べた。これから導入されるシェンゲン協定の改革が実際この言葉に沿うものであるとは、誰もが考えているわけではない。「国境検査メカニズムや国境防衛措置、『不法移民』への対処ばかりを述べる人は、それほど信用が置けるわけではない」と欧州議会緑の党の人権専門家バルバラ・ロッホビヒラーは語った。

原題:EU oeffnet Tuer zur Rueckkehr von Grenzkontrollen




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