2014年6月12日(木)21:21
AFP
欧州委員会の次期委員長問題ならびに保守系のジャン・クロード・ユンケル候補をめぐる論争で、イギリスのデイヴィッド・キャメロン首相は舌鋒を強めた。「投票に行った市民は自分たちの欧州議員を選んだのであって、欧州委員長を選んだのではない」。ユンケル氏はどのポストにも立候補しておらず、誰からも選ばれていない」とキャメロン首相はズュートドイチェ・ツァイトゥング紙Suddeutsche Zeitungへの寄稿で主張した。
欧州委員長の選任問題では「EUがどのような政治を行うのかという手法、ならびに規則を守る必要性、またEUの国民国家とEU諸機構の正しい関係が中心」となるのである、とキャメロン首相は述べている。
リスボン条約により、次期欧州委員長は初めて欧州議会選挙の結果を考慮して任命されることになっている。しかし指名は従来どおりEU加盟国首脳による。欧州議会の各会派はリスボン条約に基づき、今回初めて筆頭候補を立てて選挙戦に臨んだ。5月末の選挙で勝利した保守系のEPP(欧州人民党)の場合は、ユンケル前ルクセンブルク首相であった。
幾名かの欧州議員は「候補者を探し出して選出する新しい手続きを考え出し」た。そして大会派は密室で、最大会派の候補者を共同で支持するという取り決めを行った。「この計画は欧州理事会では決して議決されていない」とキャメロン首相は同紙に寄稿した。
各会派の筆頭候補を支持する人々は、欧州市民が投票を行い、欧州委員長としてユンケル候補を明確に支持したのだと論拠を述べる。だからもし加盟国の首脳が他の候補を提案するようなことがあれば、民主主義に反する、などと主張している。「経験豊かなEU政治家のユンケル氏に含むところはないが、このような論拠は馬鹿げている」とキャメロン首相は続けた。
キャメロン首相は英国のEU決定からの独立性を高めようと考えている。一方ユンケル候補は一層の欧州統合を訴えている。報道によれば、キャメロン首相はユンケル氏が欧州委員長に任命された場合、英国はEUを脱退すると嚇したという。
EU各国首脳は6月26日と27日にブリュッセルで開かれる首脳会議で表決を行い、欧州委員長候補者を決定する予定である。決定は多数決で、どの国にも拒否権は認められていない。EU首脳会議で指名された候補者は、続けて欧州議会の承認が必要となる。欧州議会の表決は7月15日にストラスブールで予定されている。
原題:Cameron legt im Streit um EU-Kommissionspraesidenten nach
Britischer Premierminister: "Juncker kandidierte nirgendwo"