2014年6月12日(木)16:56

欧州議会は欧州委員長人事をめぐる問題で圧力を強める

二大会派の代表はユンケル候補を支持

AFP

次期欧州委員長のポストをめぐる問題で、欧州議会はEU各国首脳に対する圧力を強めている。欧州議会の二大会派の代表、マンフレート・ヴェーバー(キリスト教社会同盟CSU)代表とオーストリア出身の社会民主系会派のハンネス・スヴォボダ代表は、EUのヘルマン・ファンロンパイ常任議長(大統領)との会談を終え、保守系のジャン・クロード・ユンケル前ルクセンブルク首相への支持を強調した。

欧州議会では「あらゆるレベル」でユンケル候補への支持が広がっている、と先週キリスト教民主党系会派EPP(欧州人民党)の代表に選出されたヴェーバー代表は語った。EU各国首脳へのメッセージは「きわめて明確」である。「もしユンケル氏以外の候補者を選んだならば、機構制度に関わる危機が生じる」。欧州議会は争いを好まないが、「議会の唯一の多数派」はユンケル候補支持派である、とヴェーバー代表は語った。

ユンケル候補の任命にはイギリスのデイヴィッド・キャメロン首相などが抵抗している。キャメロン首相にとって63歳のユンケル候補は「過去の人」であるばかりか、あまりにもEU連邦主義foderalistisch*に過ぎると思われている。キャメロン首相の抵抗についてヴェーバー代表は、英国は「28ヶ国の1つ」に過ぎず、この件では英国政府に拒否権はない、と語った。

欧州議会でEPPに次ぐ社会民主党系会派のスヴォボダ代表も、EU加盟国首脳は選挙結果を尊重しなくてはならないと要求した。これは「民主主義の基本原則」に基づく要請である、とオーストリア出身のスヴォボダ代表は語った。

緑の党議員団のレベッカ・ハルムス共同代表は、デイヴィッド・キャメロン首相のユンケル氏に対する「傲慢さ」は「耐え難い」と批判した。キャメロン首相は「欧州男女市民によって選ばれた民主的な機関」としての欧州議会を軽視している、とドイツ出身のハルムス共同代表は語った。

先週末、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は、キャメロン首相ならびにスウェーデンとオランダの首相と会談し、次期欧州委員長の任命問題について解決策を模索した。しかしキャメロン首相は拒絶姿勢を変えず、スウェーデンのフレーデリック・ラインフェルト首相とオランダのマルク・ルッテ首相も否定的な意見を表明した。

リスボン条約によれば、次期欧州委員長はまず欧州議会選挙の結果を考慮して指名されることになる。そのため、欧州議会の各会派は全ヨーロッパ的な筆頭候補を立てて選挙戦に臨んだ。保守系のEPPの場合はユンケル候補であり、同候補は最大の得票をもたらした。

公式には従来どおりEU首脳会議で欧州委員長候補者が指名される。EU各国首脳は6月26日と27日のブリュッセル首脳会議で表決を行い、候補者を決定する意向である。決定は多数決で、どの国にも拒否権は認められていない。EU首脳会議による候補者指名はその後欧州議会で承認を受けねばならない。欧州議会の表決は7月15日にストラスブールで行われる予定である。

次期欧州委員長の就任には欧州議会の承認が必要とされている。そのためEUのファンロンパイ常任議長(大統領)は今週、引き続き個々の会派との協議を行う意向である。

原題:EU-Parlament erhoeht Druck im Streit um EU-Chefposten
Chefs der beiden groessten Fraktionen wollen Juncker




ホームへ戻る