2014年6月13日(金)

テーマはEU:キャメロン首相は直接欧州市民に訴えている

ミッテルバイェリッシェ・ツァィトゥング(社説)

デイヴィッド・キャメロン首相は直接欧州市民に訴えている。ドイツのズュートドイチェ・ツァイトゥング紙をはじめ一連のヨーロッパの新聞への寄稿で、イギリスのキャメロン首相はジャン・クロード・ユンケル候補の次期欧州委員長就任に反対し、欧州議会側が「裏口で権力を濫用すること」を強く批判し、自らのEU改革計画に理解を求めた。ユンケル候補に反対するキャメロン首相にとって、重要なのは「経験豊かなEU政治家」と呼ぶ、前ルクセンブルク首相に対する攻撃ではなく、むしろ原則である。キャメロン首相は、欧州議会最大会派の筆頭候補が自動的に欧州委員長になるという手続きを非民主的と考えているのだ。

欧州議会の議員らは選挙前、「自分たちが欧州委員長の候補者を探し、選出するという新しい手続きを考え出した」。しかしこれは現行法と真っ向から対立する、とキャメロン首相は述べる。確かにリスボン条約の第17条によれば、欧州委員長候補者を提案する権限は欧州理事会(EU首脳会議)にしか認められていない。その際各国首脳は欧州議会選挙の結果を「考慮する」必要があるが、必ずしも従う必要はないのであり、欧州議会はその場合欧州理事会の提案する候補について表決する権利があるのである。

キャメロン首相の主張では、欧州議会選挙では勝利した会派の筆頭候補を同時に欧州委員長として決定する権限が市民に与えられるという作り話ができたという。「しかしこの考え方は一度も欧州理事会で決定されてはおらず、一度も加盟国の議会で批准されたことはない。」「投票に行った市民は自分たちの欧州議員を選ぼうとしたのであり、欧州委員長を選んだわけではない。ユンケル氏はどのポストにも立候補しておらず、誰に選ばれたわけでもない」とキャメロン首相は述べた。

もし提案権を欧州理事会から奪い、それを欧州議会に委ねるならば、危険な前例が生まれることになる、とキャメロン首相は警告する。人材の宝庫に制限をかけ、任期中の首相が候補者になる可能性が排除され、欧州議員のみが候補者となる。これは政治的に中立であるべき欧州委員会に政治的色彩を与えることになる、と首相は続ける。とりわけキャメロン首相が立腹しているのは、EUの規則を裏口で破ろうとしている人々にゴーサインを与えることになる点である。こうした規則はつまるところ「私たち加盟国の議会で批准され、国際的な法として規定されている」のだ、とキャメロン首相は語る。

彼の主張の正しい部分は正しい。欧州委員長候補の提案権割譲は民主的に正当化されないであろう。過去の欧州議会選挙から学んだことは、有権者がEUの民主的赤字に不満を抱いていたということではなかったか?したがってキャメロン首相が内政上の打算から反EU的な攻撃を行っているなどと見るのは不当であろう。たしかに内政上の打算はあろう。キャメロン首相の目に「今後もこのまま候補」と映るユンケル氏では、首相が求める必須のEU改革は日の目を見ず、英国のEU残留を問う2017年の国民投票に向けて自国民を納得させることはできないからである。しかし結局のところ首相が問題にしているのはEUそのものであり、自分は「EUの利益のために」戦っているのだと言う時には、少なくとも耳を傾けるべきであろう。キャメロン首相は成長戦略、雇用創出、補完性原則で改革を求めており、これを推進する強力で意欲的な欧州委員会を望んでいる。首相はどうしたら繁栄を永続的に保つことができるか、EU全体で議論することを求めている。これはそれほど悪いことではないはずだ。

原題:Es geht um Europa: David Cameron wendet sich direkt an die Buerger Europas




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