2014年6月21日(土)

社会民主党政権のEU加盟国は緩やかな債務削減を要求

次期欧州委員長候補としてユンケル候補を承認

AFP

EU首脳会議を数日後に控えて、社会民主党系のEU加盟国首脳は今後のEU政策とEU主要人事に対する共同姿勢を固めた。ドイツ社会民主党(SPD)のジグマール・ガーブリエル副首相を交えたパリでの首脳会議で、首脳らは改革に意欲的なEU加盟国に対しては債務削減に一層の猶予を認めるよう要求した。あわせて、欧州委員長候補として保守系のジャン・クロード・ユンケル氏を支持した。

経済相を務めるガーブリエル副首相は、およそ2時間に及ぶ9ヶ国の首脳との会談を終え、債務削減の安定協定には何ら変更を加えないことで合意したが、その代わり「債務削減の期間に対する修正規定」で全員が合意した、と語った。フランスのフランソワ・オランド大統領は、EU内で雇用を創出し、とりわけエネルギー部門で「大きな投資プログラム」をスタートさせるべく、協定の「あらゆる余地」を活用すべきである、と強調した。

オランド大統領とガーブリエル副首相は人事問題について、社会民主党は保守系の欧州人民党(EPP)の選挙での勝利を受けて、同党のジャン・クロード・ユンケル筆頭候補の欧州委員長指名を受け入れる旨を表明した。ガーブリエル副首相によれば、社会民主党は代わりに「他の職務を欧州社会民主党と社会党が占めること」を期待しているという。保守系の欧州委員長ならば、副委員長は社会民主党でなくてはならないという。しかし具体的な候補者名は挙げなかった。

オランド大統領は、新たに選任されるEU常任議長(EU大統領)とEU外交上級代表、ならびに欧州議会議長のポストに言及した。パリで開かれた今回のミニ首脳会議には、欧州議会選挙で欧州社会民主党の筆頭候補として立ったマルティーン・シュルツも出席した。社会民主党は金曜日の段階でシュルツ氏が再び欧州議会議長に選ばれるなら、同氏の欧州委員長就任を断念すると表明している。

ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員長の後任にユンケル氏を指名することに対しては、EU内で激しい論争がある。とりわけ保守系のデイヴィッド・キャメロン英首相がユンケル候補を強硬に拒絶している。

ここ数週間、舞台裏では妥協案の模索過程で、欧州委員長または欧州議会常任議長の候補者としてたびたびデンマークのヘレ・トーニング=シュミット首相の名前が上がっている。トーニング=シュミット首相もパリでのミニ首脳会議に出席した。しかし土曜日のル・モンド紙Le Mondeによれば、デンマークがユーロ圏にもシェンゲン圏にも加わっていないという理由からオランド大統領は反対しているという。

ミニ首脳会議の直前、オランド大統領はイタリアのマッテオ・レンツィ首相と二国間協議を行った。両国は国内の経済成長が完全に封じられぬよう、債務削減を緩めるようたびたび要求している。ガーブリエル副首相は、ドイツもアジェンダ2010の改革ではもっと長い債務削減期間を認められたとあらためて強調した。今度は両国などにも「同じ機会が与えられ」ねばならない。しかしどの国がどれほどの猶予を得るかは欧州委員会が決定することである、と副首相は述べた。

一方、欧州中央銀行(ECB)はEU加盟国の首脳に対して、EUの債務規則を緩めぬよう警告した。「信頼性を失う限界まで安定成長協定を拡張すべきではない」とECBのブノワ・ケーレBenoit Coeure理事はフランクフルター・アルゲマイネ日曜版Frankfurter Allgemeine Sonntagszeitungに語った。EU内の大きな政府債務を考えれば、今は公債整理の手綱を緩める時ではない、とケーレ理事は警告した。

EU首脳会議は今週木曜日と金曜日にイーペルとブリュッセルで開かれる。パリのミニ首脳会議にはオーストリア、ルーマニア、チェコ、ベルギー、マルタ、スロヴァキアの首相も出席した。

原題:Sozialdemokratische Regierungen: Mehr Zeit fuer Defizitabbau
Juncker als Kommissionspraesident akzeptiert




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