2014年6月25日(水)18:30

EUは人事をめぐる駆け引きに終止符を打つ意向:首脳会議最初の決定

EUの主要人事をめぐる論争で、欧州連合は永続的な分裂を回避すべく、7月中旬までに決定を行う意向

ドイツ通信社dpa

EU加盟国の首脳は金曜日のブリュッセル首脳会議でイギリスの抵抗を抑え、ジャン・クロード・ユンケル前ルクセンブルク首相を次期欧州委員長に指名する予定である。

続く7月中旬の臨時首脳会議では包括的な人事案が成立する運びとなる、とEU外交筋は水曜日に伝えた。問題となるのはキャサリン・アシュトンEU外交上級代表とヘルマン・ファンロンパイEU常任議長(大統領)の後任ポストである。またユーログループ議長の常任ポストも議論に上っている。とりわけイタリアのマッテオ・レンツィ首相が、速やかに人事を決定するよう要求している。

ドイツ政府はこの首脳会議で、一部のEU加盟国の反対を抑え、ユンケル氏(59歳)の指名を図る意向である。「私たちが特定多数で票決を行ったとしても驚くべきことではない」とアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は連邦議会でイギリスとハンガリーなどの抵抗を念頭に述べた。またメルケル首相はユーロ安定基準の緩和に明確な反対を表明した。

首脳会議は木曜日、フランデレンのイーぺルの記念行事で幕を開ける。ここは1914年から1918年の第一次世界大戦中およそ50万人の兵士が命を落とした場所である。夕食会ではEU加盟国首脳が2019年までの欧州連合の戦略的方向性を討議する意向である。

メルケル首相は首脳会談に先立ち、「EUの優先政策と最初の人事決定を含む説得力ある包括案」が提起されると発表した。すべての協議を「EUの精神」に則って行い、すべての加盟国の関心事に真剣に耳を傾ける必要がある、とメルケル首相は述べた。

CDUの党首を務めるメルケル首相は、ドイツ政府は保守会派の筆頭候補としてユンケル候補を支持すると強調した。社会民主党(SPD)のトーマス・オッパーマン議員団長は「英国のEU離脱を望む者は誰もいない。しかし選挙で勝利した会派の候補に対する拒否権などもありえない」と述べた。

7月の臨時EU首脳会議でイギリスのデイヴィッド・キャメロン首相を「また一緒に船に乗せる」ことになるかもしれない、とブリュッセルの外交筋は語った。保守系のキャメロン首相は首脳会議で規則どおり票決を行って欧州委員長の候補者を決定するよう求めている。これは新しい状況である。これまで欧州委員長候補者はEU各国首脳の合意で指名されていた。

EU常任議長(EU大統領)の候補者には社会民主党のヘレ・トーニング=シュミット・デンマーク首相の名が上がっている。ヴェルト紙Die Weltの報道によれば、スペインのルイス・デギンドス経済相が新たなユーログループ議長に選出されることになるという。現議長はオランダのイェルーン・ダイセルブルームであるが、ダイセルブルーム議長の任期は公式には2015年半ばまで残っている。

メルケル首相はEU安定成長協定をめぐる論争を踏まえ、これは一層の成長と雇用を確保する優れた前提条件となっている。ガードレールと境界線だけでなく、多くの柔軟な規定をも含んでいるのだ。「私たちはこの両方を活用する必要がある」と語った。EU内ではフランスとイタリアなどが一層の経済成長策を要求している。

欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は安定成長協定に関して、「私はこの規定を変更するよう提案した政府を見たことがない」。欧州委員会は共通通貨の守り手としてすでにこの規定を柔軟に運用している。たとえば、債務規定に違反した国に対しても猶予期間の延長を認めている、と語った。

金曜日にはウクライナ、グルジア、モルドバとのパートナーシップ協定も調印される予定である。ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はEU各国首脳とウクライナの状況について協議する。首脳会議ではロシアに対する制裁措置の強化も議題となる。しかし外交筋は今の時点では制裁の強化は現実的でないと見ている。

原題:EU will Postenschacher beenden: Erster Beschluss bei Gipfel




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