2014年6月27日(金)

ガウク大統領はEUの国民国家化に警鐘

国民国家に後戻りしてはならない。ドイツ大統領はEU内のナショナリズムに強い警鐘

ドイツ通信社dpa

ドイツのヨアヒム・ガウク大統領はウクライナ危機で西欧の民主国家に結束を呼びかけ、EUが国民国家に後退せぬよう警鐘を鳴らした。

ガウク大統領は金曜日ベルリンで開かれた第一次大戦とその影響に関するシンポジウムの席で、外からの大きな課題がドイツとEUを襲っている、それもEU自身が危機にあり、「EU統合を犠牲にして国民国家の主権を拡大しよう」という声が強まっている局面に、と語った。

大統領は、EUでは大衆迎合的で反EU的な勢力が伸長しつつある。しかし一部が夢想するような国民国家に回帰する余地はもはや存在しないのだ、と批判した。「私たちが抱えている問題は脱退や締め出しで解決することはできない。」

「ウクライナの欧州連合接近に対するロシアの抵抗は、私たちがこの大陸でとうの昔に克服したと考えていた思考・行動様式との対決を迫っている」。「私たちが現在経験しているのは、外国の不安定化とよその領土の併合に至る、権力・勢力範囲拡大に対する古い信仰である」とガウク大統領はウクライナのクリミア半島に対するロシアの行動を踏まえて語った。

「私たちは決して対決の政治には戻らない。」「しかし私たち共通の欧州の権利が侵害されたり、その基盤が揺るがされることをみすみす見過ごすこともできない。さもなければ私たちは自らの価値観を放棄することになろう。」大統領は、人権や無辜の人々の命を救う戦いでは最終手段として武器の使用も必要となることがあるという、とりわけ左派党の間で論議を呼んだ発言について、シンポジウムでは繰り返さなかった。

ガウク大統領は、ウクライナ危機ですばやく「一貫して、原則に忠実で事態を鎮静化する」対応を取ったとして、ドイツ政府の政策を賞賛した。「ここに私たちが目下ドイツで議論している問題が明らかになった。すなわちドイツが欧州連合の主要なメンバーとして、また規範に基づく価値秩序の守り手として責任を引き受けることである。」

古典的な国民国家に戻ることは、見通しのきかない新たな状況に対する欧州の回答にはなりえない、と大統領は強調した。第一次大戦の「最初の破局」と「それに続く破局」から導き出された結論として、啓蒙主義の価値の信奉と西欧民主主義勢力の結束は、以前同様今も必須である。この認識をEU外からの挑発者に対して守る必要がある。また同時にEUは内部の懐疑派を取り込まねばならない、と大統領は語った。

シンポジウムではベルギー、フランス、英国、クロアチア、ポーランド、ロシア、トルコ、ドイツの歴史家が、欧州が第一次大戦から何を学んだのかという問題を討議した。

原題:Gauck warnt EU vor Rueckfall in Nationalstaaterei
Bundespraesident Joachim Gauck hat die westlichen Demokratien in der Ukraine-Krise zum Zusammenhalt aufgerufen und die EU vor einem Ruckfall in Nationalstaaterei gewarnt.




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