2016年6月2日(木)

トゥスクEU常任議長:「欧州統合推進論者は『ユーロピア的夢想』を捨てるべき」

AFP

反EUの機運が広がり、英国のEU脱退の危機が迫る中、EUの指導層は欧州連合を基本的な役割に限定するよう求めた。「反自由主義的で反欧州統合の政治勢力が凱歌を揚げる」シナリオは絶対に避けねばならない。そのためには、欧州統合推進論者が「完全な統合」といった「ユートピア的夢」を捨て、「実務的な」政策を行う必要がある、とEUのドナルド・トゥスク常任議長は水曜日の晩ブリュッセルで語った。

トゥスク常任議長は経済諸団体代表との会合で、実務的な政策の例として難民問題を受けてのEU外的国境の安全管理や銀行同盟の完成を挙げた。「抒情的で事実上愚かしい、熱狂的統合観に基づくビジョン」を推し進めることは、「私たちが抱える問題に対しての適切な回答にはならない」。これはむしろEU統合反対論者をさらに勢いづかせることにつながる。英国にとどまらず、ほかの国においても、とトゥスク常任議長は主張した。

欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長も、EUは「大きな問題に」集中しなければならない。EUはこれまであまりにも加盟国や地域の問題に介入してきた。「いたるところで過度の欧州統合を進めることは最終的にEUの死をもたらす、と私は考える。しかし統合の過少も同様にEUを殺すことになる」と警告した。

英国は6月23日にEU残留を問う国民投票を実施する。デイヴィッド・キャメロン首相はこれに先立ち、英国が加盟国として留まった場合、一連のEU改革を行うとの約束を他のEU加盟国首脳から取り付けている。これにはEU諸条約の「常に統合を進める連合体」との規定が加盟国に政治的深化への参加を強要しないとの保証も含まれている。

原題:EU-Ratsprasident Tusk: Pro-Europaeer muessen "utopische Traeume" begraben




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