2016年6月13日(月)06:00
Yahooニュース
英国のEU離脱が近づく。少なくとも最新のイギリス国内の世論調査の結果を信じるならば。EUにとっての影響は予測し難い。なぜならこれまで自発的に連合を離脱した国はなかったからだ。しかし離脱は英国にとってそう簡単ではないと欧州連合のドナルド・トゥスク常任議長は述べる。完全な離脱にはほぼ7年かかるだろうという。
「すべての条約上の義務や関係を解消するのはとても悲しいことではあるが比較的容易であり、2年ほどかかるだろう」。しかしすべての当事者にとって難しいことはそのほかにある、とトゥスク常任議長はビルト紙Bildのインタビューで語った。「EU加盟27ヶ国と欧州議会がそれぞれに最終結果を承認する必要があり、これには少なくとも5年かかる。上手く行く保証もないのではないかと考える。」
インタビューでトゥスクEU常任議長は英国民の離脱問題の扱い方を批判した。離脱キャンペーンは国民にとって何も変わらないかのように伝えている。「だがそれは間違いだ」。「経済のみならず、地政学的にも離脱は英国にとって打撃となるだろう」。これまでEUの歴史上そのようなシナリオがなかったため、現時点では離脱がどのような長期的影響をもたらすかは予測できない。「歴史家として私が心配するのは、英国の離脱はEU崩壊の始まりというだけでなく、西欧の政治文明全体の崩壊の始まりとなる恐れがあるということだ」とポーランドの首相を務めたトゥスクEU常任議長は懸念を表明した。
英国のEU離脱はまた別の影響をももたらすという。「政治的には離脱はEU加盟国のすべての過激な反EU派を勢いづけるだろう。それにとどまらず、英国の離脱の日には私たちEUの外部の敵がシャンパンを開けて祝うだろう。」これを阻止する必要がある、とトゥスクEU常任議長は述べた。しかし59歳のトゥスク議長が述べるのは見通しや予測に過ぎない。「私は予言者ではない。英国民が脱退に反対するよう希望するだけだ」。たとえ英国やEUの払う代償が極めて大きかろうとも、EUは英国の離脱を克服できるものと考えている、とトゥスク常任議長は語った。
原題:EU-Ratspraesident Donald Tusk: Brexit koennte politische Zivilisation des Westens zerstoeren