2016年6月25日(土)20:27
AFP
英国のEU脱退という国民投票の結果を受けてEUはスピードを上げている。EU創立6ヶ国の外相会合の後、ドイツのフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー外相(社会民主党SPD)は土曜日、宙ぶらりんの状態を招かぬよう警鐘を鳴らした。EUはベルギーの外交官ディディエ・セーウスDidier Seeuwsに離脱交渉の指揮を委ねた。一方スコットランドの自治政府は独立に向けた新たな国民投票に向けて最初の手続きを決定した。200万人以上のイギリス人がEU加盟を問う国民投票のやり直しを求めてネット署名を行った。
離脱手続きは「可能な限り速やかに開始」すべきである。目的は「宙ぶらりんの状態に陥ることを避ける」ことだ、とシュタインマイヤー外相はフランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの外相との会談を終えて要求した。フランスのジャン・マルク・エロー外相も「私たちは直ちに開始する」と述べ、速やかにキャメロン首相の後継を任命するよう求めた。「それには数日あれば足りる」とエロー外相は要求した。
これに対し、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は、私には離脱交渉のスピードは重要ではないと述べた。「正直なところ、永久に続いてはならないというのは当然であるが、時間に追われるのも望まない」。いつ英国がEU離脱の申請を提出するかは英国自らが決めねばならない、とメルケル首相は語った。
英国は木曜日に行われたEU加盟を問う国民投票で僅差で離脱を決定した。これを受け、保守党所属のデイヴィッド・キャメロン首相は退陣を表明したが、10月までは首相職に留まる。キャメロン首相は、リスボン条約第50条で定められたEUへの公式な離脱伝達を後任の首相に委ねる意向である。それを受けてようやく英国の離脱の条件に関する交渉が開始される。交渉期間は最長で2年間と定められている。
ドナルド・トゥスクEU常任議長の広報官によれば、すべての離脱交渉を行う「ブレグジット・タスクフォース」Brexit Task Forceを率いるのは50歳のセーウス外交官になるという。ベルギー出身のセーウス氏は長年、ヘルマン・ファンロンパイ前EU常任議長の側近を務めた。
イギリス人のジョナサン・ヒル欧州委員(金融担当)は英国の国民投票の結果を受けて辞任を表明した。国民投票の後、何もなかったように職に留まることはできない、とヒル金融担当委員はブリュッセルで述べた。欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長によれば、金融担当委員は通貨担当のヴラディス・ドムブロフスキス欧州委員が兼任することになるという。ユンケル委員長は基本的には別のイギリス人を委員会に受け入れる用意があると述べた。
スコットランド自治政府は独立を問う再度の国民投票に向けて「法的条件」を整備することを決めた、と二コラ・スタージョン自治政府首相は述べた。また、「ただちにEU諸機関や他のEU加盟国との間で協議を行い、欧州連合におけるスコットランドの地位を確保すべく、あらゆる可能性を検討する」ことで合意したという。
スコットランドはすでに2014年の国民投票で英国からの分離独立を否決しているが、僅差の結果であった。しかし今度はEUからの離脱を前に、仕切り直しの国民投票で独立派が勝利する可能性がある。
しかし土曜日論議にのぼったのはスコットランドの二度目の国民投票ばかりではなかった。夕方までに200万以上のイギリス人が、議会と政府のホームページで英国の欧州連合加盟を問う二度目の国民投票実施の請願を行った。署名が殺到したため、議会の公式ホームページは一時ダウンした。
原題:EU-Aussenminister draengen Grossbritannien zu zuegigem Austrittsverfahren