2000年6月6日(火)10:45

シュレーダー首相はエストニアでEU拡大推進を表明

タリン(ドイツ通信社)

 ドイツの首相としては初めてとなるバルト諸国の訪問において、連邦首相ゲルハルト・シュレーダーはEUの中・東欧諸国への拡大を推進することを表明した。シュレーダー首相は火曜日タリンにおいてエストニアの国会で演説を行い、同時にロシアを含めたヨーロッパの安全保障体制の構築を主張した。シュレーダーは同国の国会で演説した最初の元首という栄誉を受けた。

 東・中欧諸国の一部の懸念を踏まえ、シュレーダー首相はドイツがEU拡大の意欲を失っているのではないかという見方を「根拠がない」と明確に否定した。「我々ドイツ人は、ヨーロッパ大陸全体の平和、安全、自由および法治国家の永続的保証として我々が欧州連合を必要としていることを、良く知っている。」シュレーダー首相はこのように述べて、欧州連合の拡大プロセスに懐疑的なキリスト教民主同盟(CDU)およびキリスト教社会同盟(CSU)からはっきりと距離を置いた。

 エストニアだけでなくラトビアおよびリトアニアも目下EUと加盟交渉を行っている最中である。さらに三国はNATO加盟も目指している。しかしNATO加盟に関しては加盟候補国には至らず、加盟希望国の扱いにとどまる。

 シュレーダー首相は将来のヨーロッパの安全保障体制を視野に入れ、どのような軍事同盟に加盟するかはそれぞれの国が自ら決めることができる、と述べた。「我々の優先目標が中欧・東欧全体における安全と安定の向上にあることは変わりない。我々が望むのは新たな溝ではなく、安全保障政策上のグレーゾーンや分断線をつくらないような秩序なのである。」ドイツにとって、エストニアの加盟希望が昨年NATOに賛意をもって受け入れられたことは重要な一歩と考える、と首相は述べた。

 シュレーダー首相は、このプロセスがロシアを仮想敵国とするものではないことを強調した。「ロシアのヨーロッパにおける役割には戦略的重要性がある。ドイツとエストニアにとってロシアとの友好関係から得られるものは利益ばかりである。」シュレーダー首相は来週のプーチン大統領のベルリン訪問でロシアとの関係を深め、「とりわけロシアを一層ヨーロッパに組み入れるための基盤と展望を討議したい」という意向を強調した。しかしこの問題との関連でチェチェン情勢を憂慮していることを隠すつもりはない、とも述べた。

原題:Schroeder bekennt sich in Estland zur EU-Erweiterung