2000年6月16日(金)
ブリュッセル(ドイツ通信社)
欧州委員長ロマーノ・プローディは少なくとも12カ国におよぶ欧州連合の拡大計画を欧州連合最大の課題と評した。 ポルトガルのフェイラで開かれるEU首脳会議を数日後に控えて、同委員長は金曜日ブリュッセルで加盟国に対してあわせてEU改革のタイムスケジュールを守るよう要求した。ヨシュカ・フィッシャー独外相のヨーロッパ構想についてはEU改革論議に一石を投じる重要な演説と評した。
拡大を成功させるためにはすべての政府と世論の惜しみない支持が必要である、と同委員長は述べた。「拡大はいよいよ焦眉の問題として迫りつつある。これは我々を待ち受ける最大の課題である。」欧州委員会もEU加盟国も中・東欧諸国への拡大を遅らせる意図はない、とプローディは述べた。「しかし我々は2003年1月1日には答えを出せる態勢になくてはならない。その時には(受け入れ)準備が整っていなくてはならない。」
プローディ委員長はさらに、原則的には1998年3月から続いている拡大交渉が拙速に陥るようなことがあってはならない、委員会は拡大交渉が成功裡にかつ慎重に完了するよう配慮するつもりである、と述べ、「我々は新たなベルリンの壁が築かれるような事態は避けねばならない」と語った。それゆえEUの改革は成功させねばならないのである、フィッシャー外相の演説と彼のヨーロッパ連邦のビジョンはヨーロッパをめぐる論議に良い影響を与えてくれた、「しかしそれは出発点であって、到達点ではない」とプローディは語った。
拡大のテーマは、来週月曜日と火曜日にポルトの南のフェイラで開かれる首脳会議の重要な協議事項の一つとなる。とりわけ第一陣の加盟候補国ポーランド、ハンガリー、チェコ、エストニア、スロヴェニアおよびキプロスは、困難な農業交渉が始まった今、拡大に向けたEUの熱意が薄れるのではないかという懸念を抱いている。
サンタ・マリア・ダ・フェイラでは、EU改革とならんで、インターネット時代と電子商取引に適応するためのEUの助成も協議事項としてとりあげられる。この件に関してはすでに3月のリスボンのEU首脳会議において重要な取り決めがなされている。プローディ委員長は、今回はこの問題の総括を行うのが肝要である、と述べた。欧州委員会は行動計画を提起したが、この計画にはとりわけEU圏のインターネット普及を妨げる重大な障害を取り除くための戦略が盛り込まれている。
EU首脳会議ではまた、12カ国目となるギリシャの経済通貨同盟ならびにユーロ圏への加盟が認められる予定である。プローディ委員長は、これは特別な意味を持つ、というのはギリシャはこれにより1999年のユーロ圏創立以来最初の加盟国になるからである、と述べた。
もう一つのテーマはEUの基本権憲章の計画をめぐる論議である。当初は前ドイツ大統領のローマン・ヘルツォークがこのプロジェクトをサミットの場で提起する予定であった。しかし同大統領は夫人の重い病気のために出席をとりやめる意向である。同大統領を議長として、年末を目途に欧州連合3億7000万市民の基本権の一覧表を作成する作業が進められている。
原題:Prodi nennt Erweiterung groesste Herausforderung der EU