プラハ(AP)
チェコのミロシュ・ゼマン首相は、同国政府が場合によってはいわゆるベネシュ布告を撤廃する用意があるとの報道を否定した。当時のチェコスロヴァキアのエドヴァルト・ベネシュ首相*)によるこの命令は、1945年、300万人のズデーテンドイツ人放逐の根拠となった。
ゼマン首相はこの否定発言によりドイツ人のギュンター・フェアホイゲンEU拡大委員の発言に答えたことになる。同委員は欧州議会において、チェコはもしEU法に反する場合はベネシュ布告を再考する用意があると発言した。プラハの通信社CTKの伝えるところによれば、ゼマン首相は、これはまったく事実に反する、と述べ、私にはフェアホイゲンがどこからこの情報を仕入れたのかもまったく分からない、と語ったという。
ズデーテンドイツ人の大半は戦後西ドイツに受け入れられ、残りのおよそ30万人がオーストリアに受け入れられた。オーストリアとドイツの指導的な政治家は、チェコのEU加盟申請後、同国に対して、ベネシュ布告の無効宣言を行うよう求めていたが、チェコ政府はこれを拒絶した。この文脈でゼマン首相は、当事者が挑発的と受けとめる問題発言をいくたびか行った。たとえばズデーテンドイツ人を「ヒトラーの第五列」と、オーストリアを「ヒトラーの最初の同盟者」と呼ぶなどしている。
また、水曜日にゼマン首相は否定声明の機会を利用してフェアホイゲン委員を攻撃した。首相は、チェコにはチェコの政府がある。フェアホイゲンは政府の一員でもなければ今後も政府に加わることもない、と述べた。
原題:Zeman dementiert moegliche Ruecknahme der Benes-Dekrete
Tschechischer Ministerpraesident widerspricht Aeusserungen Verheugens
*)訳注:原文には「首相」Ministerpraesidentとあるが、正しくは大統領。