ストラスブール(ロイター)
EU拡大担当のギュンター・フェアホイゲン欧州委員によれば、チェコは基本的に、第二次大戦後のドイツ人とハンガリー人の放逐を定めたベネシュ布告を修正する用意がある旨を声明したという。
議会に対し「もし現在の法律の実情がEU法と相容れないと判明した場合は、法の変更を要請する」とチェコ政府は発表した、とフェアホイゲン委員は水曜日、ストラスブールの欧州議会で述べた。目下、法的状況が欧州議会と欧州委員会によって審査されている、と同委員は伝えた。
フェアホイゲン委員は、欧州委員会はチェコ政府の声明を歓迎すると述べた。同委員は、故郷を放逐された人々がベネシュ布告の無効宣言を受けて財産の返還要求を行うのではないかというチェコの懸念を念頭に置いて、ベネシュ布告に関する論争を法律問題というよりはむしろ政治的問題であると評した。フェアホイゲン委員は、いずれにせよ同布告はもはや適用されることはない。加盟交渉が過去の遺物によって悪影響を受けることがあってはならない、と語った。チェコでは6月に選挙が控えている。
ベネシュ布告に関する論争は最近、チェコとドイツ、ハンガリー、およびスロヴァキアとの関係を悪化させていた。チェコのヴァーツラフ・クラウス国会議長は、同布告の存続をEU加盟交渉で確認するよう要求した。ハンガリーは2004年に予定されるチェコのEU加盟前に布告を撤廃することを求めていた。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相はこの論争のために3月末に予定されていたチェコ訪問を取りやめた。
ズデーテンドイツ人は「ヒトラーの第五列」であると述べたチェコのミロシュ・ゼマン首相の発言も、ドイツ国内に波紋を巻き起こした。とりわけ議会選挙でシュレーダー首相のライバルとなるバイエルンのエドムント・シュトイバー州首相は、この発言を批判し、故郷放逐者を擁護した。放逐された200万を越えるズデーテンドイツ人の家族の多くがバイエルンで暮らしている。
かつて東ドイツで首相を務め、現在は民主社会党(PDS)所属の欧州議会議員であるハンス・モドロウは、ベネシュ布告に疑義をはさむことを戒めた。そうなれば、第二次世界大戦の戦勝国と東ドイツおよび西ドイツによる4対2のドイツ再統一交渉にも疑義が呈されることになる、と同議員は述べた。
原題:Verheugen: Tschechien zu Aenderung der Benes-Dekrete bereit