2003年3月27日(木)09:42

EU将来像会議はEU憲法の基本事項で論争

ブリュッセル(ドイツ通信社)

EU将来像会議の作業完了予定期日を100日後に控え、欧州連合憲法の中心的な基本事項について依然激しい議論が行われている。水曜日ブリュッセルに集まった会議のメンバーは、神やキリスト教・ユダヤ教の伝統という語を憲法草案に盛り込むべきか否かについて、意見の一致を見るに至らなかった。加えて数名のメンバーは、自由、民主主義、人間の尊厳と人権という価値とともに平等の概念をも含めるよう求めた。

イギリス政府のピーター・ハイン代表は草案に「神」の語を入れることを拒否した。「多くの人々は無神論者である。信仰がないのだ。これをわれわれも尊重する必要がある」とハインは述べた。一方ドイツ選出のエルマー・ブローク欧州議会議員(キリスト教民主同盟)は、憲法では宗教に言及すべきであると主張した。しかし同時にブローク議員は「もちろんこれを前文に含めるか否かは議論されてよい」と述べて、妥協も示唆した。将来像会議のジャン・リュック・デハーネ副議長は憲法本文で宗教的価値に言及することには反対の意向を示した。

欧州統合に懐疑的なメンバーは水曜日ブリュッセルで、新たな条約の枠組みを「憲法」と称することにあらためて疑問の姿勢を示した。第一条で欧州連合の連邦的機構について述べる将来像会議の議長団の提案も、さまざまな批判を受けた。一方他の会議のメンバーはこの条文を断固擁護した。これに加えて会議では、憲法を国民(Voelker)の意思に基づくとすべきか、市民(Buerger)の意思に基づくとすべきかという問題も議論の的となった。

「加盟国の国民のアイデンティティー(nationale Identitaet)」は尊重されると記した議長団の条文案も多方面から批判を浴びた。これは法概念ではなく、それゆえ修正する必要があるとオーストリア選出のヨハネス・フォッゲンフーバー欧州議員(緑の党)は主張した。同様にデンマークのEU批判論者イェーンスペーター・ボンデもこの文言を疑問視した。「国民のアイデンティティーとは何を指すのか?美しい民族舞踊か民族音楽か何かなのか?」ドイツのヨアヒム・ヴュルメリング(キリスト教社会同盟)は、多様性を欧州の価値あるいはEUの目標と定めるべきであるとの要求を支持した。

加盟全15ヶ国および加盟候補国の政府代表および議員などが名を連ねているEU将来像会議は、6月末までにEU憲法案を起草することになっている。EUの新たな基礎となる憲法案は、その後政府協議に諮られる予定である。

原題:EU-Konventsmitglieder streiten ueber Grundlagen einer EU-Verfassung




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