2004年3月27日(土)14:34

ドイツ国民はEU東方拡大に懐疑的

ミュンヒェン(AP)

欧州連合の拡大を4週間後に控え、ドイツ人は東欧諸国をはじめとする10ヶ国の新規加盟を懐疑的に見ていることが明らかになった。ニュース雑誌『フォーカス』の委託で世論調査機関「ポリス」が行ったアンケートによれば、調査した1002名のうち81パーセントは、拠点をドイツから新規加盟国に移す企業が増えると予測している。

しかし一方で経済の専門家や政治家は、拡大EUがドイツにとってリスクでなくチャンスになると見ている。ドイツ銀行のノルベルト・ヴァルター国民経済主任は『フォーカス』誌とのインタビューで、ドイツは「拡大する欧州市場の最大の受益者」になるとの確信を示し、中産層にとっても新たな市場や活動の機会が生まれると述べた。だが財政の専門家であるヴァルター主任は、競争力を保つための方策として、所得税の引き下げを求めた。

欧州委員会のフランツ・フィシュラー農業担当委員は、新たに7500万の消費者が増えることはドイツの農家にとってはとてつもないチャンスを意味する。というのも拡大によって低い牛乳価格が改善される可能性があるからだ、と『フォーカス』誌に語った。欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大委員も同誌に対して、ヨーロッパは「20世紀の忌まわしい過去を最終的に克服するのに、これ以上の好機は二度とない」と述べた。

一方、労働組合「ヴェル・ディ」ver.di のフランク・ブジルスケ委員長は、経済的な問題を抱えている地域を中心に失業が増加するのではないかと危惧する。問題なのは現加盟国と新規加盟国間の明らかな賃金格差である。それゆえEUは先手を打って、公共事業における賃金協約のガイドラインを設定するなど、保護メカニズムを設けておく必要がある、と主張した。

フェアホイゲン委員は『ビルト日曜版』で、生産拠点の東欧への移動は避けがたいと発言した。「競争力を維持するために企業が賃金の安い国々で生産を行うことは、グローバル化の趨勢である。グローバル化はもはや止められない。止めるにはもう遅すぎる」と同紙は拡大委員の発言を伝えている。

あわせてフェアホイゲン委員は、愛国心が欠けているとの批判から経済界を擁護した。市場の要求にしか従わないからといって、拠点を移そうとする企業を何もかも批判してはならない。「非愛国的というのは、できる限りの貢献を行ってドイツの状況を強化するかわりに、それを扱き下ろすことである」と委員は語った。

原題:Bundesbuerger sehen EU-Osterweiterung skeptisch




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