2005年3月9日(水)18:05

クロアチアとのEU加盟交渉の開始は瀬戸際

ブリュッセル(AP)

来週木曜日に予定されているクロアチアとの加盟交渉開始は延期の瀬戸際に立っている。ブリュッセルでは、クロアチア政府のハーグ国際戦犯法廷に対する協力が不十分であるとしてEUが交渉開始期日を遅らせるとの見方が有力である。最大の争点はカルラ・デルポンテ国連主任検察官の求めるアンテ・ゴトヴィナ将軍の身柄引き渡しである。将軍は2001年半ばから捜索を受けている。外交官の一人は「状況は悪い」と水曜日ブリュッセルで語った。

加盟交渉開始の条件としてEUは、クロアチアがハーグ国際戦犯法廷と「無条件の協力」を行うことを求めている。EUの見解では、ゴトヴィナ将軍の身柄引渡しを行わない限り、これは実行されたとは見なされない。クロアチア政府は、将軍の居場所を知らないと繰り返し強調している。しかしデルポンテ主任検察官は、クロアチア政府がゴトヴィナ将軍の居場所を知っており、捜索を妨害していると主張する。

デルポンテ主任検察官はこの見解をEU議長国ルクセンブルクに宛てた3月4日の書簡であらためて強調した。主任検察官はこの書簡で、ゴトヴィナ将軍が「クロアチア当局の手の届く所」に潜伏している。クロアチア政府は依然としてゴトヴィナ将軍の引渡しに何ら協力していない、と伝えた。訴追状によればゴトヴィナ将軍は、1995年のクロアチア軍侵攻の際150人のセルビア人殺害および150,000人の放逐に関わったとされている。

クロアチアではゴトヴィナ将軍は、セルビアの占領から国を解放した英雄として称えられている。そのため将軍の身柄引き渡しは難しい問題となっている。欧州委員会が今月行った世論調査では、EU加盟を支持するのはクロアチア国民の30パーセントに留まるという。しかし、クロアチアのイーヴォ・サナデル首相は『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙Frankfurter Allgemeine Zeitung に、「私は国際戦犯法廷と無条件の協力を行うことを約束する」と語った。

サナデル首相はEU各国に対して、「ゴトヴィナ問題の解決のために」クロアチアとともに特殊部隊を編成するよう呼びかけた。しかし加盟交渉は3月17日に開始せねばならないと首相は述べた。「重要な問題であるのは、クロアチアだけでない」。加盟交渉の遅延は「EUおよび改革に反対する全東南ヨーロッパの勢力を勢いづかせることになる」と訴えた。

ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相と欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員はベルリンで、クロアチア政府に対し義務を果たすよう呼びかけた。フィッシャー外相は、時間は限られている、「だが残っている」と述べた。レーン拡大委員は「今の状況では私たちは加盟交渉に応じることはできない」と述べた。

EU議長を務めるルクセンブルクのジャン・アッセルボルン外相は、加盟交渉が期日どおり開始する可能性を完全に否定しようとはしなかった。ドイツラジオ放送(ドイチュラントフンク)に対してアッセルボルン外相は、「私はクロアチアが3月16日までに百パーセントの協力を示す可能性があると思う」。必ずしもそれまでにゴトヴィナ将軍をハーグ国際戦犯法廷に送る必要はない。「私が言えるのは、鍵を握っているのはザグレブのクロアチア政府であるということだけだ」、と語った。

外交筋によれば、とりわけイギリスとオランダが加盟交渉開始の延期を主張しているという。ドイツ、フィンランド、スウェーデン、デンマークも延期に賛成している。一方、オーストリア、ハンガリー、スロヴェニアは期日どおりの開始を主張している。交渉開始には加盟国の全会一致の決定が必要となる。(明日)木曜日に加盟国の大使がこの問題を協議する。最終決定は3月16日にブリュッセルで開かれるEU外相会議で行われる。

原題:EU-Verhandlungen mit Kroatien auf der Kippe




ホームへ戻る