2005年3月16日(水)17:46
ブリュッセル(AFP)
欧州連合はクロアチアがハーグ国連戦犯法廷と十分な協力を行っていないことを理由に、同国とのEU加盟交渉を延期した。これはEU各国外相が共同宣言で発表したもの。当初加盟協議は木曜日に開始される予定であった。新たな開始期日の合意は得られなかった。
しかしEUは引き続きクロアチアの加盟に向けて努力するとEU外相宣言は述べている。併せてEU各国外相はユーゴ内戦に巻き込まれた国に対して、国連戦犯法廷に協力するよう呼びかけた。「これはEUへの接近を継続するための必須の要求である」と外相宣言は求めている。
クロアチアは、とりわけ戦争犯罪人として捜索を受けているアンテ・ゴトヴィナ元将軍の身柄を国連戦犯法廷に引き渡さなかった責任を問われている。クロアチアのイーヴォ・サナデル首相は、我が国は国連戦犯法廷との協力で「非難される覚えはまったくない」。私は今回の決定について「不満」の意を表明するのみであり、我が国はこれまでハーグ国連戦犯法廷と全面的に協力してきたものと「確信」している、と語った。
1995年に南クロアチアのセルビア軍占領地域を奪還したゴトヴィナ元将軍はクロアチアでは英雄の扱いを受けている。しかし国連戦犯法廷は戦争犯罪、中でも少なくとも150人のセルビア人殺害の廉で元将軍を非難している。
EU議長を務めるルクセンブルクのジャンクロード・ユンカー首相は、クロアチアは間違いなく今後数週間のうちにも「国連戦犯法廷との密接かつ全面的な協力姿勢」を示すことができよう。そうなれば加盟交渉は直ちに開始できる、と述べた。
ドイツ外務省のハンス・マルティーン・ブリー政務次官(社会民主党)は、「クロアチア政府がゴトヴィナ元将軍を見つけ、引き渡すことができる」と客観的に認められた場合でも加盟交渉開始の前提条件が満たされる。しかしクロアチア政府が「過去の行動以上の対応を取れるはず」との重大な指摘もある、との見解を表明した。
オーストリアのウルズラ・プラスニック外相は、クロアチアのハーグ国連戦犯法廷との協力姿勢に関してEU各国外相の間で見解が一致しなかった。それゆえ、全会一致の対応を取ることができなかった、と認めた。
原題:EU verschiebt Beitrittsverhandlungen mit Kroatien