2006年3月22日(水)16:23

ドイツは新規EU加盟国に労働市場を開放せず

ベルリン(ドイツ通信社dpa)

東欧の安価な労働力は少なくとも2009年まではドイツの労働市場に自由に参入できない。

ドイツの内閣は水曜日ベルリンで、東欧の新規EU加盟国の労働者に対する流入制限を3年間延期し、2009年4月30日までとすることを決定した。フランツ・ミュンテフェリング労働相(社会民主党)は決定の理由としてドイツの高い失業率を挙げ、当面新規EU加盟国の労働者に対する流入制限は不可欠であると述べた。

「ドイツは今後とも労働市場の開放を労働市場や経済政策の利益に添って管理する必要がある。これはドイツの労働市場の隔絶を意味するものではない」とミュンテフェリング労働相はキリスト教民主同盟・社会同盟と社会民主党の議員に対し書簡を送った。ドイツ通信社は水曜日ベルリンでこの書簡を入手した。

労働者の移動の自由の制限は、ポーランドやチェコなどの低賃金諸国からの出稼労働者の無制限の流入を規制するものである。とりわけ手工業部門に低賃金労働者の流入に対する懸念がある。キプロスとマルタの労働者はこの規制の対象外である。

欧州委員会は旧加盟国に対し、自国の労働市場を開放し、参入制限を撤廃するよう呼びかけている。少なくとも6ヶ国はこれを実行している。イギリス、アイルランド、スウェーデンは当初から開放しており、フィンランド、ポルトガル、スペインは5月以降労働市場を開放する予定である。

ミュンテフェリング労働相は旧加盟国に対する欧州委員会の労働市場開放の勧告を拒否した。ドイツのように失業率が高ければ、開放した場合「労働市場の緊張が高まり、賃金に対し圧力がかかることが予想される。ドイツ政府はそのような展開を許容するわけにはいかない」。しかし遅くとも2011年までには新規EU加盟国の国民に対して「完全な移動の自由が認められる」、と労働相は書簡で述べている。2009年以降2011年まで規制を延長することはEU条約により認められている。

自由民主党(FDP)と緑の党は閣議決定を批判した。ドイツ労働総同盟(DGB)とドイツ手工業中央同盟は2009年までの規制延期を歓迎した。ドイツ経営者同盟(BDA)とドイツ産業同盟は反対はしなかったものの、労働者の移動の自由の早期実施を強く求めた。ドイツ商工業会は労働市場の隔絶の危険を警告した。

BDAのペーター・クレーファー事務長はドイツ通信社に対して、労働市場の開放問題は「無期限延期」であってはならない。経済界は外国の熟練労働力の流入に期待している、と語った。

原題:Neuen EU-Buergern bleibt deutscher Arbeitsmarkt verwehrt




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