2009年3月28日(土)19:19
AFP
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)の慎重なEU拡大路線は、国内外から批判を浴びた。南ボヘミアのフラウエンベルク(フロボカHloboka)で開かれたEU外相会合では、新規加盟はクロアチアに留めるべきとしたメルケル首相の要求に相当数のEU加盟国が異議を唱えた。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相(社会民主党SPD)は路線矛盾であるとしてキリスト教民主同盟(CDU)を非難した。
EU議長を務めるチェコのカレル・シュヴァルツェンベルク外相は、拡大プロセスを停止すれば「最大の誤り」を犯すことになるとフラウエンベルク城での非公式外相会合の席で警告した。イギリスのデーヴィッド・ミリバンド外相とスウェーデンのカール・ビルト外相は、EUはセルビア、コソボ、マケドニアのようなバルカン諸国に対し、2003年に与えた加盟展望を突然閉ざしてはならないと述べた。「もし私たちが鼻の先で扉を閉ざすようなことがあれば、この地域に破滅的な影響をもたらすだろう」とビルト外相は警鐘を鳴らした。
シュタインマイヤー外相は、メルケル首相が約2週間前に発表したCDUの欧州議会選挙綱領を批判した。CDUはクロアチアしか受け入れるつもりがないのに、一方で西バルカンに対する明確なEU加盟展望を要求している。「これは一見したところ整合性を欠く」、と外相は語った。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ問題のヴァレンティーン・インツコ新任特使は、「拡大疲れ」を来たしているとしてメルケル首相を非難した。メルケル首相の態度はドイツの連邦議会選挙をも念頭に置いたものだ、と59歳のインツコ特使は南ボヘミアでの外相会合を終えてAFP通信に語った。オーストリア出身のインツコ特使は3月から欧州連合のボスニア特使を務めており、国際連合の上級代表も兼務している。
EU各国外相は土曜日、速やかなEU加盟を求めるアルバニア、ボスニア、クロアチア、マケドニア、モンテネグロ、セルビアの外相と加盟問題について協議した。シュタインマイヤー外相は出席せず、ラインハルト・ジルバーベルク外務次官を送った。
しかしバルカン諸国のEU加盟が遠のいたのはメルケル首相の懐疑的な姿勢ばかりではない。ドイツ政府とフランスはフラウエンベルクの会合で、まずEU諸機構の改革を行うよう強く求めた。「リスボン条約が発効しない限り、私たちは新規加盟国を受けいれることはできない」とドイツ政府筋は主張している。フランスのベルナール・クシュネール外相も同様の発言を行った。これにより、差し当たり最も有望なクロアチアの加盟にも疑問符が付いた形となる。
原題:Merkels Erweiterungskurs stoesst im In- und Ausland auf Kritik