2009年3月29日(日)11:05
フルボカ・ナド・ヴルタヴォウ(チェコ)(AP)
EU改革危機の深刻化により、欧州連合の拡大をめぐる議論が再燃した。EU議長を務めるチェコのカレル・シュヴァルツェンベルク外相は土曜日、EU改革リスボン条約が成立しなければ拡大プロセスを停止するとしたドイツとフランスの警告に異議を唱え、「それは最大の誤りであると考える」と述べた。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領は、EU諸機構の改革が行われない限り、新規加盟国の受け入れを承認しないと繰り返し警告している。ドイツの政府筋は、チェコのフルボカ・ナド・ヴルタヴォウ(フラウエンベルク)で開かれた外相会合の席外で、これはクロアチアにも当てはまると強調した。
この公式の政府見解は、メルケル首相が党首を務めるキリスト教民主同盟(CDU)の欧州議会選挙綱領からも逸脱している。というのはCDUは綱領の中で、最も加盟準備の進んでいるクロアチアのために例外規定を要求しているからである。しかしそれ以外についてCDUは、最近5年間の12ヶ国へのEU拡大を受けて、ひとまず「内部固めの期間」を置くよう主張している。
フランクヴァルター・シュタインマイヤー外相(社会民主党SPD)はすでに金曜日の晩、この発言に対し「怪訝」の意を表明し、CDUの綱領はバルカン諸国に対する原則的な加盟展望に矛盾すると批判した。シュタインマイヤー外相は土曜日の外相会合には出席せず、ラインハルト・ジルバーベルク外務次官を代理に送った。
欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員は、原則論をめぐる論争の矮小化に努め、私はクロアチアとの加盟協議の完了前にリスボン条約が発効するものと考えていると述べた。
しかしフィンランドのアレクサンデル・ストゥブ外相は、たとえEU改革条約が発効しなくても拡大は継続しなくてはならないと主張した。「万が一リスボン条約が発効しなければ、拡大は少々難しくなるだろう...しかし通常私たちはそのような場合にも解決策を見出してきた。」イギリスのデービッド・ミリバンド外相も「拡大はEUとバルカン諸国の利益にかなう」と強調した。
セルビアのヴク・ジェレミッチ外相はEUに対し、バルカン諸国に対する加盟の約束を守るよう訴えた。EUは「欧州の扉が欧州の諸国民に開かれていること」をあらためて保証する必要がある、と外相は述べた。
しかしフランスのベルナール・クシュネール外相は、改革条約なしにはさらなる改革ラウンドの「可能性はない」とあらためて強調した。これまでメルケル首相とサルコジ大統領は、EUが30ヶ国またはそれ以上の加盟国を抱えれば、リスボン条約で規定された決定手続きの簡素化なしには機能不全に陥るとの理由から、条約の発効を新規拡大の前提条件にしている。EUの現在の加盟国は27である。EUはクロアチアのほかに、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、マケドニア、モンテネグロ、コソボ、アルバニア、トルコに対して加盟展望を与えている。
モンテネグロの加盟申請はドイツによってブレーキがかけられた。これまでの通常の手続きと異なり、加盟申請書は次のブリュッセルEU外相理事会で議論を尽くした後、欧州委員会に送られることになった。他のEU加盟国はこうした通例の変更に苛立ちを隠せない。なぜなら、欧州委員会に加盟申請書を送ることは、ただちに加盟交渉開始を意味するものではないからである。
原題:Streit ueber EU-Erweiterung wieder aufgeflammt Wochenendzusammenfassung