2010年3月31日(水)17:02

セルビアはスレブレニツァの虐殺を謝罪

ベオグラード(AP)

それは1945年以降ヨーロッパで最悪の戦争犯罪として歴史に刻まれた。1995年ボスニアのセルビア人部隊がスレブレニツァで、モスレムの若者や男性を中心におよそ8,000人を殺害した事件である。その後15年を経てセルビアは自国の暗い歴史に対する責任を認め、虐殺について謝罪した。しかし僅差で可決された歴史的決議は「民族虐殺」という言葉は避けた。

この決議は親西欧派の連立政権が支持した。連立政権はこれによりセルビアのEU加盟への追い風を期待している。一方民族主義政党はこの謝罪決議を厳しく批判した。

「セルビアの国民議会はスレブレニツァのボスニア系住民に対する犯罪を厳しく断罪し、犠牲者の遺族に対する同情と謝罪を表明する」と、数時間の激しい議論の末火曜日の夜遅く可決された議会決議は述べている。

セルビア国民を代表して国民議会は責任を引き受け、「この悲劇を阻止するために万策がとられたとは言えない」と表明した。専門筋はこの決議をミロシェヴィッチ時代の遺産に別れを告げる歴史的一歩で、セルビアのEU加盟の道を開くものと評価する。しかし少数民族のモスレムの代表は、この虐殺に対して国連旧ユーゴ戦犯法廷も認めた「民族虐殺」という言葉が民族主義者の圧力を受けて決議文から削除されたことを批判している。

ムラディッチ身柄拘束への呼びかけ

連立政権の提案に対する抵抗は厳しく、国民議会全250議席中127議席の賛成という僅差の可決であった。民族主義者は「不当で恥ずべき決議」と罵った。これによりセルビアは自らの罪を文書に記すことになるのだ、とスロボダン・サマルジッチ議員は述べた。

一方、ボスニア人の犠牲者はジェノサイドという言葉が用いられなかったことに失望を表明した。「民族虐殺が行われたのだ」と夫をスレブレニツァで殺害されたサラエボのサブラ・ムイッチは語る。「私たちは命ある限り、この事件を次の世代に語り継ぐ。」

決議文ではかつてのボスニア・セルビア軍司令官のラトコ・ムラディッチ容疑者の逮捕への呼びかけも行われた。ムラディッチ容疑者はハーグ国連旧ユーゴ戦犯法廷から告訴されている。決議文は、関係機関は逃走中の同容疑者逮捕のためあらゆる手を打たねばならないと記している。これに対しても反対の声が上がった。数名の民族主義派議員は議会の議論の中でムラディッチ容疑者を「セルビアの英雄」と評した。

ボリス・タディッチ大統領は水曜日、謝罪はバルカン半島の和解にとってきわめて大きな意味を持つと述べた。またこれはムラディッチの逮捕にも役立つだろうと大統領は語った。

原題:Serbien entschuldigt sich fuer Massaker von Srebrenica




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