2015年3月8日(日)16:09

ユンケル欧州委員長はEU常備軍の創設を提唱

左翼党はロシアとの紛争激化を警告

AFP

ロシアとの対立を踏まえて、欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長はEU共同軍隊の創設を提唱した。これによりEUはEUの加盟国や隣国の危機に対処できる、とユンケル委員長は語った。ドイツの左翼党die Linkeは、対立がエスカレートする危険性があると警告した。

EU常備軍の構想はたびたびEU内で議論されてきた。しかし今のところ実現の可能性は低いと見られている。というのは英国などいくつかの国は断固拒否しているからである。今回のユンケル委員長の提案はウクライナ危機を踏まえている。欧州共同の軍隊は「私たちが欧州連合の価値の擁護を真剣に考えている印象をロシアに与える」ことにもつながる、とルクセンブルク出身のユンケル委員長はヴェルト日曜版紙Welt am Sonntagに語った。

さらにユンケル委員長は、EU常備軍はNATOに競合するものではなくEUを強化するものであると続けた。加えて武器の開発と購入における協力の強化は「著しい予算削減につながる」と述べた。

ドイツの連立政権の代表者はこの提案を支持した。ウルズラ・フォン・デア・ライエン防衛相(キリスト教民主同盟CDU)は、すでに進みつつあるEU加盟国間の軍事協力に言及した。「70年前私たちは宿敵同士だったのではないか?それが今日ではオランダとの間で互いの軍隊を相互の管轄下に置いている」。「欧州人としての私たちの将来は、いつの日か共同のEU軍となるだろう」とフォン・デア・ライエン防衛相は語った。

「共同のEU軍は欧州の未来像であり、その時期は到来した」とドイツ連邦議会外交委員会のノルベルト・レットゲン委員長(キリスト教民主同盟CDU)も語った。欧州人はロシアに比べ、全体では何倍もの軍事費を支出しているが、「各国の小軍隊」の能力は安全保障政策上不十分である、とレットゲン委員長はヴェルト日曜版紙に述べた。

「現在のEUを取り巻く脅威は、欧州大陸が近いうちに各国の防衛力の協力強化に向けてさらなる対応を取る必要があることを明らかにした」。とりわけ中小のEU加盟国は全てに対応できる軍隊を持つことができない、とキリスト教民主系の欧州議会欧州人民党議員団のマンフレート・ヴェーバー議員団長(キリスト教社会同盟CSU)は述べた。

「過去10年間EUの防衛はほとんど進展を見せていない。EUは新たなインパクトが必要だ」と社会民主党(SPD)所属のハンス・ペーター・バルテルス防衛相は同紙に語った。SPDドイツ連邦議員団のライナー・アルノルト防衛政策担当広報官も「私たちはユンケル委員長を100パーセント支持する」とターゲスシュピーゲル紙Tagesspiegelで付け加えた。EU常備軍の創設は財政的理由からも緊急の要請であり、「私たちはもはやEU内で、まともに構成された国民軍を財政的に維持することは不可能になるだろう」とアルノルト防衛政策広報担当は述べた。

一方、左翼党からは批判が寄せられた。「ユンケル委員長の提案は明確にロシアに向けられたものだ」。「EU軍やEU軍備政策ではなく、私たちは平和的な外交と軍縮をEUで必要としているのだ」と左翼党議員団のクリスティーネ・ブーフホルツ防衛政策広報担当は批判した。

原題:EU-Kommissionspraesident Juncker fuer europaeische Armee
Linke warnt vor Eskalation im Konflikt mit Moskau




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