2016年3月9日(水)
AFP
難民問題の解決に向けたEUとトルコの協定について、依然強い反対の声が上がっている。「トルコはまるでバザールのように新たな要求を並べて、価格を吊り上げている」とキリスト教社会同盟(CSU)のアンドレアス・ショイアー幹事長は水曜日のパッサウアー・ノイエ・プレッセ紙Passauer Neue Presseに語った。政権に批判的なトルコのジュムフリイェット紙Cumhriyetのデュンダル編集長Cam Dundarは、EUはトルコ政府の権威的な振る舞いに目を閉ざしていると批判した。
CSUはトルコのEU加盟に反対であり、トルコの全国民に完全なビザの免除を行うことにも反対する。加えて、たとえトルコとの間で成果が得られたとしても、すべてのEU加盟国が難民の受け入れを分担しなければならない。「結局のところこれはEU全体とトルコの協定なのであり、ドイツとトルコの協定ではないのだ」とショイアー幹事長は語った。
CSUのアンゲーリカ・ニーブラー欧州議員はトルコ政府を念頭に、「現在行われている言論の自由や報道の多様性に対する制限措置は容認できない」。しかしながら、トルコ政府との協定は締結する必要がある、とドイツラジオDeutschlandfunkで語った。
デュンダル編集長はEUがトルコ政府に対してさらに厳しく対処するよう求めた。「トルコに国境を閉ざしてもらうために、EUは独裁的なやり方に目を閉ざしている」。現在、EUとその指導部、中でもアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)は、「トルコを必要とするがゆえに」自らの利害を歴史的な欧州の原則に優先させている。しかし難民問題解決の代償が「EUの言論の自由の放棄」であってはならない、とデュンダル編集長は批判した。
「EUはトルコ国内の暴力的な人権侵害に口をつぐんでいる」とこれより前、緑の党のアントン・ホーフライター議員団長も批判した。これは「恥ずべきこと」である。EUは「請願者の立場に」陥っている、とホーフライター議員団長は水曜日のパッサウアー・ノイエ・プレッセ紙に語った。同議員団長は人権の問題でトルコ政府に明確な態度を示すよう迫った。「現実政治は何もかも受け入れることではない。」
トルコは今週初めに開かれたEU首脳会議で、新たにギリシャに到着した難民全員のトルコ送還に応じるという驚くべき提案を行った。しかし送還されたシリア人1人に対してEUは合法的なシリア難民1名を受け入れるとの条件である。加えて6月からトルコ国民に対してビザを免除すること、EU加盟交渉をさらに5分野に拡大すること、トルコ国内のシリア難民に対する支援額を60億ユーロに倍増することを求めている。
原題:Widerstand gegen moegliches EU-Abkommen mit der Tuerkei