2016年3月11日(金)17:41

欧州評議会:「憲法裁判所改革はポーランドの民主主義を脅かす」

AFP

欧州評議会はポーランドの憲法裁判所の改革法案によって同国の民主主義が脅かされているとの判断を示した。この改革は憲法裁判所の機能を麻痺させ、それによって「ポーランドの法治国家性ばかりか、民主主義システムの機能も」脅かす、と欧州評議会のいわゆるベネチア委員会は金曜日に発表した審査報告書で警鐘を鳴らした。この委員会には世界60ヶ国の名だたる憲法学者が名を連ねている。

ポーランド国内においても激しい議論を呼んでいるこの改革案は、昨年12月末、民族保守派の与党「法と正義」(Pis)が多数を占める議会で可決された。改革案によれば、憲法裁判所のすべての決定において、これまでの単純過半数から改革後は3分の2の賛成が必要となる。加えて、重要な決定の場合は15名の裁判官のうち13名の出席が必要となる。従来は9名の裁判官で足りていた。また事案は順番に審査されねばならないと定めており、その結果、憲法に違反する法案も、憲法裁判所の審査にかかるまで数ヶ月間も効力を持つ恐れがある。

こうした規定は急を要する案件の審査を不可能にしており、これにより憲法裁判所は「効力を失う」と、ベネチアで採択された同委員会の審査報告書は警告している。ポーランドの憲法裁判所は水曜日、改革法案を憲法違反と判断した。本来ポーランド政府はこの憲法裁判所の判断が法的拘束力を持つよう官報で発表する義務がある。しかしベアタ・シドゥオ首相はこれを行わない旨をあらかじめ表明している。これに対してポーランド国民はすでに抗議運動を行っている。

ベネチア委員会はポーランド政府に対して、「法治国家の基盤に基いて、憲法裁判所の判断を尊重する解決策を見出す」よう要求し、判断を官報で告示しなければならないと求めた。これが行われなければ、「ポーランドの憲法危機はさらに深刻化する」と同委員会の憲法学者は警告を発した。

ポーランドのコンラート・シマンスキ副外相はベネチア委員会の審査結果を批判した。ベネチア委員会は「憲法危機を終息させる役割を演じることができたはずだ」。しかしそれを行なわず、「機会を逸してしまった」と金曜日に語った。同委員会にはシマンスキ副外相ほかポーランド政府の代表も数名入っている。

ポーランド政府は公式の採択前に、ベネチア委員会の審査について「政治的影響を受けている」と批判していた。これはポーランドの新聞が審査報告の抜粋を発表したことに対する反応であった。

欧州連合もベネチア委員会の審査結果を固唾をのんで見守っていた。議長国を務めるオランダは、憲法裁判所の弱体化や他の問題ある法案のために、ポーランドの法治国家性を審査する手続きを開始した。これはEU史上初めてのことである。

欧州議会の議員数名はポーランド政府に対し、ベネチア委員会の批判を受けて対応を取るよう要求した。今必要なのは「ポーランドのすべての機関を含めた広範な議論を行うこと」であると社会民主党のシルヴィア・イヴォンヌ・カウフマン議員は強調した。緑の党のラインハルト・ビューティコーファー議員もポーランド政府に再考を促し、ポーランドの民主運動と対話を行うよう求めた。

原題:Europarat: Verfassungsgerichtsreform gefaehrdet Demokratie in Polen




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