2016年3月17日(木)17:57

EUは懸念を抱えつつもトルコとの難民協定を締結する意向

AFP

種々の懸念にもかかわらず、EUはトルコとの間で難民協定を締結する意向である。ギリシャの悲劇的な状況も理由の一つである。ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)はEU首脳会議の会場で、EUは木曜日に共通の立場で一致するだろうと「慎重に楽観視」していると語った。しかしその際EUは安全策を取り、ギリシャからトルコに送還された難民が危険地帯に移送されないとの保証をトルコ政府に求めるという。

まだ難しい交渉が控えているが、「方向性ははっきりしている」とメルケル首相は述べた。首相は、新たにギリシャに到着した難民をトルコに送還するにあたって、国際的な難民保護基準が順守されねばならないと明確に述べた。「難民一人一人が個人として扱われ、その権利が守られること」が重要だ、とメルケル首相は語った。

目指す合意の目的は、犯罪的な密航業者のビジネスモデルを打ち砕き、非合法な移民を阻止することにある。EUはギリシャからトルコに移送された難民の代わりに、別のシリア難民をトルコから合法的に受け入れる意向である。

10日前の首脳会議では、まだEU各国首脳はトルコ政府の提案に応じていなかった。理由のひとつはトルコが難民条約に違反する恐れがあるという懸念であり、さらにこの提案は「きわめて複雑」で「実行困難」であり、「国際法違反すれすれ」というリトアニアのダリア・グリボウスカイテ大統領の批判もあった。

EU・トルコ共同宣言の草案では、すべての移民を「国際基準に従って保護」し、危険地帯への非移送の原則を尊重するというトルコ政府が自ら定めた義務を歓迎するとしている。EU首脳会議は午前中この提案に承認を与えた。金曜日にはトルコのアフメト・ダーヴトオール首相の承認が必要となる。

オランダのマルク・ルッテ首相はこの合意以外の「選択肢はない」と述べた。「私たちは取引を行わねばならない」。さもなければギリシャの状況は危機に陥る、とルッテ首相は語った。欧州議会のマルティン・シュルツ議長(社会民主党SPD)も、トルコとの協定が成立しなければ「悲劇的な状況」が生まれる恐れがあると警告した。

ギリシャのアレクシス・チプラス首相は、バルカンルートの国境閉鎖がこの状況を招いたと批判し、これにより45,000人がギリシャに滞留していると述べた。とりわけ国境のイドメニの状況が深刻である。チプラス首相は、ギリシャへの難民流入をできるだけ阻止すべく、EU加盟国からの明確な支援の約束とトルコとの「信頼できる協定」を要求した。

協定に含まれるトルコからの合法的なシリア難民受け入れについて、EUは72,000人を計画している。これは現行のEUの合意に基づく数字である。この受け入れ枠が一杯になった場合でも、さらにトルコから難民を受け入れることが可能としている。ただしその場合はEU加盟国の参加義務はなくなる。

加えて、EUはトルコ国内の難民に対する支援を倍増し、2018年まで最大60億ユーロをトルコ政府に提供する計画である。しかしトルコ政府が要求している6月以降のトルコ国民に対するビザの免除については意見が分かれている。オーストリアのヴェルナー・ファイマン首相(オーストリア社会民主党SPO)は、EUはこの問題で前提条件を何一つ「実質的に放棄する」ことがあってはならない。しかし審査の時間的な加速は「構わない」と釘を刺した。

今週初めの段階では、トルコ政府の要求するEU加盟交渉の拡大に拒否権を行使すると警告していたキプロスも協議に応じる姿勢を示した。ニコス・アナスタシアデス大統領は、キプロス分断により依然トルコは我が政府を承認していないが「歩み寄り」は可能と考える、と語った。

欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長は、難民協定によってトルコがEU加盟の扉を押し開けるのではないかという懸念に答えた。トルコは「あと10年経ってもまだ整わない」とユンケル委員長はハンデルスブラット紙HandelsblattでトルコのEU加盟について語った。

原題:EU will trotz Bedenken den Fluechtlingspakt mit der Tuerkei




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