2001年5月6日(日)14:35

EU各国外相は東方拡大をめぐる論争で妥協点を模索

ニューシェーピング(ロイター)

EU各国外相は、スウェーデンのニューシェーピングにおける週末の会談で、EU拡大の中心課題をめぐる論争の決着に向けた事態の打開に至ることができなかった。しかしドイツの代表団筋は、日曜日の会談は「驚くほど建設的」であった。誰も拡大を阻止しようとは考えていない、と述べている。ヨシュカ・フィッシャー外相はEU各国に対して、妥協の意思を示すよう呼びかけた。外交筋によれば、土曜日の段階では、拡大後もEU補助金の支給を求めるスペインの要求、ならびに東欧の加盟候補国の労働者に対するEU労働市場開放の移行期間をめぐって激しい議論がたたかわされたという。

フィッシャー外相は、各国外相は財政問題とEU労働市場開放の移行期間の問題を正式に結び付けてはならないという点で合意したと語った。「このことは明確にされた」、これによりEU拡大に向け一歩前進が得られた、と外相は補足した。

EUは現在10の東欧諸国ならびにマルタ、キプロスと加盟協議を行っている。欧州委員会は、東欧の加盟候補国の労働者に対するEU労働市場の開放に関し、最長7年間の柔軟な移行期間を設けるシステムを提案している。フィッシャー外相はこの提案を「きわめて理性的」と評し、この問題では国民の不安に対処する必要があると述べた。

スペイン政府は、多額の補助金政策の見直しを求めたスペイン政府の要求を他のEU諸国が検討しようとしないならば、フィッシャー外相とオーストリアのベニータ・フェレロヴァルトナー外相の求める最長で7年間の移行期間についての15ヶ国の合意を阻止することもありうるとしている。東欧の貧しい国々へのEU拡大により、経済的に弱い地域へのEU補助金の配分を決める分配率があらたに算定し直されることになる。そうなればスペインはEU補助金の大部分を放棄せねばならなくなる。そのためスペイン政府は覚書の段階で補助金分配に関する規定の見直しを求めている。スペインは現在の財政計画によれば、2006年までに構造基金より429億ユーロ、格差是正基金より120億ユーロを支給される見込みである。ドイツには280億ユーロの構造基金が支給される予定である。

スペインのホセプ・ピケ外相は、他のEU諸国はスペインとの連帯を示すべきであり、この問題は「できるだけ早く」論議する必要がある、と述べている。フィッシャー外相は日曜日の朝、この論議を呼ぶ問題についてピケ外相と討議した。外交筋によれば、解決案を見出すべく対話は継続されることになるという。EU議長国のスウェーデンは、移行期間の問題が6月のイェーテボリのEU首脳会議までに解決できるものと期待している。一方スペイン政府は、イェーテボリではEU各国の連帯表明を希望するという旨の表明を行っている。

フィッシャー外相は、労働市場開放の問題を他の要求実現のための圧力手段として利用する手法は行き詰まるだろうと述べた。外交筋によれば、ニューシェーピングの会合ではイギリス、イタリア、オーストリア、フィンランド、ベルギーおよびデンマークがドイツの立場を支持しているという。フィッシャー外相は会合の初日となる日曜日、移行期間は費用がかからないがスペインの財政要求の実現には「非常に大きな」費用がかかると語った。フィッシャーは、私は加盟候補諸国との連帯を期待している。加えて、EU内の財政問題は以前の決定によれば2006年に解決をはかることになっている。また、移行期間の問題と財政問題を一緒に入れた包みを作ることは認められない、と主張した。一方フランスのユベール・ヴェドリヌ外相はフィッシャーに反論し、一つの問題を他の問題から切り離して個別に解決することはできないと述べた。

EU拡大のほかに各国外相は中近東とバルカン情勢についても討議を行った。EUは中近東の平和のために積極的な役割を果たす意向であると、EU議長をつとめるスウェーデンのアンナ・リンド外相は表明した。同外相は、しかしイスラエル政府を交渉のテーブルに着かせるため同国に制裁を科す案は会合では否決されたと述べた。

EU外相会議は日曜日にEU加盟を希望する国々の外相を交えた昼食会をもって閉幕した。昼食でのテーマは、最近ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相が新たな提案を発表したEU改革であった。

原題:EU-Minsiter suchen Kompromiss im Streit um Erweiterung