2001年5月18日(金)22:35

ベルルスコーニは慎重なEU拡大を勧告

ローマ(ロイター)

次期イタリア首相に予定されているシルヴィオ・ベルルスコーニは、欧州連合(EU)に対し、計画中のEU拡大に関して慎重な対応を勧告した。「われわれは拡大に関する一切の事項を良識をもって調査する必要がある。われわれはきわめて慎重に事を進めねばならないであろう」とベルルスコーニは金曜日ローマで語った。ベルルスコーニは、拡大後にイタリアに対するEU補助金の支給が減らされる事態は危惧していない、と補足した。スペインは自国に対するEU補助金の存続保証を強く要求し、外交筋によれば、EU労働市場の開放に関する移行期間の合意を阻止しているという。EU筋の伝えるところによれば、イタリアは拡大の負担をめぐる論争でスペインの側に回る意向であるという。

「一人当たりの所得の違いが示すように、われわれはEUをわれわれとは異なる経済を抱える国々に拡大するのである」とベルルスコーニは述べた。一連の発言でベルルスコーニは、次期経済相に予定されているジュリオ・トレモンティと異なる立場を示した。トレモンティは、拡大の実現は経済の弱いイタリア南部の発展を待たねばならないと述べている。

ブリュッセルのEU筋が金曜日に伝えるところによれば、イタリアの立場はスペインの立場と「それほど隔たってはいない」。あるEU外交官は、イタリアの外交はすでにベルルスコーニの同盟の立場を取り入れ始めていると語った。ベルルスコーニの中道右派連合は先の日曜日、イタリアの議会選挙で勝利した。

スペインとの論争に関してEU筋は、ブリュッセルにおけるEU外交官の会談ではスペインの要求する連帯声明についてまたしても妥協案の作成には至らなかった。EU加盟諸国はしばらく考える時間をとる。EU議長国のスウェーデンは二国間の協議を行って解決案を模索する意向である、と伝えた。

スペイン政府は、6月のイェーテボリにおけるEU首脳会議までに連帯声明を発表するよう期待している。スペインのラモン・デ・ミゲル欧州次官は、私はスペインの問題を承認せざるをえない声明がほどなく作成されるものと予想している、と述べた。ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は月曜日のブリュッセルにおける前回のEU外相会談で、スペインの要求は孤立していると語った。しかしイタリアの路線変更がこのまま進めば、スペインの立場は強まることになろう。

スペイン政府は、新規加盟国の受け入れにより数十億のEUの補助が配分し直されることを憂慮している。というのも、より貧しい国々が加盟すれば、補助金の割り当てを決める配分率があらたに算定し直されるからである。これによりスペインや他のEU諸国の貧困地域に対する補助は削減されることになる。スペインは2006年までの現在の計画では、構造基金からおよそ429億ユーロ、格差是正基金から120億ユーロの支給を受ける。ドイツには構造基金からおよそ280億ユーロが支給される。この額も新たな算定に従えば減額されることになる。しかし拡大後もスペインに対し多額のEU補助金が支給されるように配分比率を変更すれば、EU拠出金の増額という新たな負担がドイツに課せられることになる。

原題:Berlusconi raet zur Vorsicht bei EU-Erweiterung