2002年5月14日(火)17:21
ベルリン(ロイター)
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)は欧州連合の拡大と深化がグローバル化に対する適切な答えであると評した。
単に統一市場にとどまらず、社会モデルおよび公共モデルとしても緊密の度を増す欧州が、グローバル化に対する政治の回答とならねばならない。社会的責任を保持しつつ欧州化を構想するならば、市民の不安を和らげ、極右勢力のますますの拡大を防ぐことにつながるであろう、と首相は火曜日、ベルリンの社会民主党経済フォーラムにおいて語った。ハンガリーの次期首相ペーテル・メジェシは、欧州は「ヨーロッパ合衆国」Vereinigte Staaten von Europa に向けて舵を切らねばならないと主張した。ハンス・アイヒェル蔵相(社会民主党)は、欧州の財政および経済政策に関しては共同の規則を取りまとめ、これに効力を与える必要がある、と述べた。
シュレーダー首相は自らの言葉によれば、欧州における極右勢力の広がりを、グローバル化のみならず欧州化をめぐって市民の間に蔓延する不安に対する反応と評し、こうした動きに対しては共同で断固として臨む必要があると主張した。首相はこの問題に関して、極右の「亡霊」に非政治化の傾向で対処しようとしているとして自由民主党(FDP)を批判した。
首相はグローバル化とその政治的影響に対する不安を視野に置き、「この傾向に対抗するため私たちが行うべきことはEUの拡大と深化であり、これは再国有化(訳注=国民国家への権限再委譲)の対極を成す」。この道筋は経済的にも政治的にも千載一遇のチャンスをもたらし、ドイツにとっても成長と雇用の形でチャンスとなる、と述べた。
しかし統合の道を進むためにはEUの抜本的な改革が必要である、と首相は続けた。EUは一方で強力な行政府を必要とし、他方で強力な議会を必要とする。欧州委員会は単に決定を下せるよう強化されるだけでは不充分であり、その決定の効力を単なる過去形にとどまらず真剣に検討するような、監査における繊細さも必要とされるのである。ブリュッセルの決定と、それに伴い加盟国が負う責務の間の懸隔がこれ以上広がってはならない。加えてEUと国民国家間の明確な権限分割が必要である、と首相は語った。
EU拡大に関してシュレーダー首相は、2004年の新規加盟国の数は10を上回りこそすれ下回ることはないだろうとの希望を表明した。ハンガリーのメジェシ次期首相は、シュレーダー首相同様、欧州の統合に当たってはとりわけ経済力と社会的公正を結びつけることが求められると強調した。
ドイツのハンス・アイヒェル蔵相は、国際的なレベルでは経済政策および財政政策の協力は強化されていると述べた。欧州統合は、世界の他の地域の統合と同様、この分野では将来においても影響を及ぼすことのできる重要な手段である。「国民国家はもはやあまり権限を持たないが、政治に関しては別である」。その際、成長と成長の翳りへの対処において社会的な側面に一層のウェイトを置く点で、欧州はアメリカと異なる方向を目指している、と発言した。
「欧州を建設することは、経済の分野では一貫して国家の規則を排除して、共同の欧州の規則を受け容れることにほかならない」とアイヒェル蔵相は表現した。このような方法で欧州内の税制の調和がはかられる必要がある。そうなれば税率の障害なく競争が進むであろう。ただし要求し得る限度は決めておく必要がある、と蔵相は主張した。
原題:Schroeder: Zusammenrueckendes Europa Antwort auf Globalisierung