2002年5月19日(日)20:19
プラハ(AP)
チェコのミロシュ・ゼマン首相は日曜日、ベネシュ布告をあらためて弁護した。この布告で1945年に定められたズデーテンドイツ人の追放は当事者には損害にも利益にもならなかった*)、とゼマン首相はかつてのテレージエンシュタット強制収容所のホロコースト犠牲者追悼の記念式典で述べた。この数時間前、キリスト教民主同盟・社会同盟のエドムント・シュトイバー首相候補はニュルンベルクのズデーテンドイツ人大会で、ベネシュ布告の撤廃をチェコのEU加盟の条件とするよう求めた。
「彼らは帝国への帰還を望んでいた。だから我々は彼らを出て行かせたのだ」とゼマン首相は追悼式典で語った。式にはジョージ・W.ブッシュ大統領のローラ夫人も参列した。ベネシュ布告では主に、第二次大戦後ズデーテンドイツ人300万人の当時のチェコスロヴァキアからの放逐が定められている。チェコ政府はEUに加盟し同布告を撤廃した場合、放逐されたズデーテンドイツ人やその子孫による補償請求が次々に起されるのではないかと危惧している。
シュトイバー首相候補は、「2002年の欧州において、57年以上前に遡る放逐と公民権剥奪を弁護する者は、あらゆるヨーロッパ人から欧州に加盟する資格を問われることになる」と述べた。チェコのEU加盟前に、コペンハーゲン基準に基づいてベネシュ布告の撤廃が行われる必要がある、とバイエルン州首相を務めるシュトイバーは主張した。オットー・シリー内相は土曜日第53回ズデーテンドイツ人大会の開幕にあたり、現政府の見解では「過去の不正は過去に属す」と明確に述べた。この発言で内相は激しい野次にさらされた。
原題:Tschechischer Ministerpraesident Zeman verteidigt Benesch-Dekrete
*)訳注:同じAP電の続報「シュトイバー首相候補はベネシュ布告をチェコのEU加盟の条件とするよう主張」で引用された発言と一部異なっている。第二段落冒頭の発言にも若干の相違がある。